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11月21日(金) まず確認すべきことは世論が安倍首相を見放しつつあるという事実 [解散・総選挙]

 今日の午後、衆院は解散され、事実上の選挙戦に突入しました。来月の2日公示、14日に投票という日程で総選挙が実施されます。
 この解散・総選挙について、今日の『朝日新聞』夕刊に「どう名付け? 識者に聞く」という記事が出ていました。「何と名づけますか」という問いへの答えの一つが、「巨大な自民が野党を踏みつぶすだけの解散じゃないですか?」というものです。
 果たしてそうでしょうか。それほど自民党は強力で、その勝利は確実なものなのでしょうか。

 この問いに答える前に、自民党にとっての「勝利」とは何か、その「勝敗ラインはどれほどなのか」が問題です。言い換えれば、どれだけ減らせば敗北なのか、という問題があります。
 厳密に言えば、解散時より1議席でも減らせば敗北です。自民党の現有議席は295で公明党が31ですから与党は326もあり、解散しなければこの巨大勢力はさらに2年間維持できたわけですから、それを減らせば解散した安倍首相の責任が問われるのは当然のことです。
 しかし、安倍首相はこのような責任論を回避するために、「与党で過半数を割れば退陣する」と表明しました。衆院の定数は現在480ですが、一票の格差是正のための「0増5減」で475に減り、その過半数は238になります。

 つまり、現有議席より88下回っても「勝った」と言えるような「勝敗ライン」を口にしたわけです。「べらぼうじゃないか。こんなに減らしても勝ったと言えるのか」と、誰もがそう思うでしょう。
 というわけで、与党幹部は自民・公明あわせて「与党で270議席以上」とする方針を確認しました。与党がすべての常任委員会で委員長ポストを独占し、委員が過半数を占める「絶対安定多数」である266を数議席上回る数になります。
 それでも、現有議席より60議席も少ない数です。与党は議席数をこんなに減らしても、まだ「勝った」というつもりなのでしょうか。

 与党がこれほど低い数字を目標としているのは、敗北したということで混乱が生じたり責任論が生まれたりしないための予防線を張っているからです。同時に、今回の総選挙がそれほど楽観できるような状況ではなく、「野党を踏みつぶすだけの解散」などといって甘く見ていたら痛い目を見る可能性があるということに、それとなく気が付いているからかもしれません。
 その例証の一つが、今日の『朝日新聞』朝刊に出ている世論調査の結果です。調査は19、20日に電話で実施されました。
 その結果は以下のようなものです。いずれも、安倍首相には厳しい内容となっています。

安倍内閣支持率は39%で不支持率は40%と、初めて支持と不支持が逆転
この時期に解散・総選挙をすることに「反対」は62%で、「賛成」は18%
消費増税の延期について「国民に信を問う」という解散理由に「納得しない」は65%で、「納得する」は25%
消費税を10%に上げる時期を1年半延期して2017年4月に確実に上げるとの判断を「評価しない」は49%で、「評価する」は33%
10年4月に消費税を10%に上げることに「反対」が49%で、「賛成」は39%
衆院の定数削減についての約束を実現せずに解散することに「問題だ」は77%で、「問題ではない」は17%

 世論は、このようなものです。この世論がそのままの形で選挙結果に出れば、安倍首相を信任したり、与党を勝利させたりするような形にはならないでしょう。
 もちろん、世論調査と選挙は違います。選挙になれば、これ以外の様々な要素が有権者の投票態度に影響することになります。
 とはいえ、世論が安倍首相を見放しつつあるという事実は重要です。しかも、これに加えて注目すべき事実があるのですが、これについてはまた明日……。

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