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11月22日(土) 総選挙で自民党が必ずしも勝つとは言えないこれだけの理由 [解散・総選挙]

 前回の総選挙で自民党は大勝しました。しかし、一皮めくれば、その勝利は極めて脆弱なものです。
 決して盤石な形で与党が勝利したわけではないということ、別の形で言えば、野党にも挽回するチャンスは十分に残されているということを、いくつかの数字をもとに検証してみたいと思います。

 まず第1に、前回の自民党勝利は得票数を増やしたためではないということです。過去3回の総選挙を見ると、小選挙区で自民党は、3252万票(05年)→2730万票(09年)→2564万票(12年)という結果でした。
 自民党有利とされる小選挙区で、05年から09年にかけて522万票、09年から12年にかけて166万票と票を減らし続け、あわせて約700万票も支持を失ってきました。総選挙で勝利して政権を取り返した12年でさえ、政権を失った前回から票を減らしていたのです。
 ちなみに、比例代表区での減り方はもっと大きく、05年には2589万票だったものが09年には708万票減らして1881万票となり、さらに12年には219万票減らして1662万票となっています。05年との比較で言えば、政権を奪還した12年総選挙でも約900万票もの減少になりました。

 第2に、このように票を減らしてきた自民党が前回の12年総選挙で勝利できたのには、二つの理由があります。一つには、民主党の裏切りと政権交代への幻滅によって投票所に足を運ばなかった人が激増したことであり、もう一つは、日本維新の会・みんなの党・日本未来の党などの「第三極」の台頭によって野党の票が分散したことです。
 12年総選挙での小選挙区の投票率は59.32%で、69.28%だった09年総選挙と比べて9.96ポイントも低下しました。投票数にして1096万票もの減少です。比例代表も同様で、69.27%から59.31%へと9.96ポイント低下し、1020万票の減少となりました。
 12年総選挙で敗北した民主党は、小選挙区でも比例代表区でも前回の09年総選挙より約2000万票減らしましたが、そのうちの半分は棄権に回り、残りは第三極に流れたものとみられます。その結果、自民党が漁夫の利を得たというわけです。

 第3に、このような自民党にとって特に有利な結果が出たのは小選挙区制のカラクリによるものでした。小選挙区では相対多数の得票をした候補者が当選しますから、野党が乱立すれば自然に自民党の候補者が有利になります。
 こうして、09年総選挙と比べて自民党は、小選挙区で173議席も増やして237議席を獲得する大勝利となりました。他方、比例代表区では09年の55議席から12年の57議席へと、たった2議席しか増えていません。
 この時の自民党の有権者対比での得票率(絶対得票率)は小選挙区で25%、比例代表区では16%にすぎなかったのです。有権者のたった4分の1の支持しか集めていない政党が巨大な与党になれたカラクリは、小選挙区制という選挙制度にありました。

 以上の結果を見れば、前回の総選挙では自民党が勝ったのではなく、野党が負けたのだということが分かります。特に、有権者を失望させて選挙から退出(棄権)させた民主党の責任は大きく、自民党に対抗すべき「第三極」諸党による票の分散も野党の側のオウンゴールを生み出す結果となりました。
 今回の総選挙でこのような問題点を克服できれば、野党の敗北は避けられ、自民党をアシストすることもなくなるでしょう。そのためには、有権者の負託にこたえられるような選択肢が提起されなければなりません。
 そのような選択肢はあるのでしょうか。それを明確に提起できるのか、それを有権者にどのように認知してもらえるかが、今回の総選挙の重要な課題になっています。

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