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12月25日(木) 安倍「大惨事」(第3次)内閣を待ち受けるこれだけのジレンマと難問 [内閣]

 第2次安倍政権の第3次内閣が発足しました。国民にとっては、さらなる暴走によって大事故を引き起こす可能性の高い「大惨事」内閣が出発したことになります。

 この内閣は、総選挙で確保した衆院での3分の2以上の与党勢力を持っています。選挙での洗礼を経て、首相の発言力はさらに高まることでしょう。
 「国民の信任」を得たと言い張って、さらなる暴走に出る危険性が高いと思われます。選挙でほとんど触れず隠し通した争点についても、「白紙委任」を得たかのような居直りに出ることでしょう。
 そもそも、不意打ちの奇襲攻撃によって票をかすめ取り、そうするための力と口実を手に入れることを狙っての「今のうち解散」でした。しかし、安倍首相の前途はそれほど容易なものではなく、多くのジレンマと難問が待ち受けています。

 これについては、すでに、12月20日付のブログ「総選挙後に安倍首相の表情が『終始険しかった』のはどうしてなのか」で、ある程度触れています。
 第1に、与党内で「隠れ野党」の公明党が増え、野党内で「隠れ与党」の次世代の党が壊滅したために改憲発議が困難になったこと、第2に、アベノミクスの前途に不安があるにもかかわらず景気回復を前提にして消費再増税を確約してしまったこと、第3に、沖縄の新基地建設をめぐる県民の反対世論がさらに明確に示されたこと、第4に、いまさらTPPから撤退もできず、かといって参加すれば農業をはじめとした国内産業に大打撃をあたえ、自民党の命取りになるかもしれないこと、第5に、原発を再稼働すれば世論や周辺自治体の反発を高めることは必至で、再生可能エネルギーによる持続可能な社会への芽を摘んでしまうこと、第6に、労働者派遣法の改定などの規制緩和によって非正規労働者を増やせば、労働力の質は低下し、消費不況と少子化はさらに深刻となって日本企業の国際競争力と経済の成長力は失われ、「成長戦略」などはとうてい実現できないことなどです。これらについて詳しくは、12月20日付のブログをご覧になってください。

 
 ここでは、これに加えて、以下のようなジレンマと難問を指摘しておきたいと思います。

 
 第1に、「政治とカネ」の問題です。今回の第3次安倍内閣でただ一人、江渡防衛相だけが再任されませんでした。
 江渡さんは閣僚の椅子の「防衛」に失敗したわけですが、それは「政治とカネ」の問題で野党から追及されていたからです。これから、集団的自衛権の行使容認など安保法制についての審議が行われますから、その妨げになってはいけないということで再任を辞退したそうです。
 しかし、他の閣僚には「政治とカネ」の問題がないのでしょうか。11月末に公表された政治資金収支報告書では問題のある使われ方や不実記載などが続々と判明していますから、今後、通常国会でもこれらの問題が追及されることは避けられません。

 第2に、安倍改造内閣が「目玉」としていた地方創生の問題です。すでに、TPP参加や労働者派遣法改定とも関連して指摘しましたが、これについて安倍政権がやろうとしていることはアクセルを踏みながら同時にブレーキを踏んでいるようなものです。
 地方を元気にするためには、地域社会を担っている農家や中小業者、労働者が希望をもって働け、安定した収入が得られるようにしなければなりません。しかし、TPPで農産物の関税が下がり、非関税障壁の撤廃ということで中小業者への保護がなくなり、非正規労働が拡大して収入が減れば、地方社会の活力は低下するばかりです。
 安倍首相が行おうとしている財政支出による補助金や公共事業では、地方再生にほとんど効果のないことはこの間の経験で証明済みです。農業の生き残りのためということで「農業改革」を打ち出し、「岩盤規制」に穴を開けようとしていますが、結局それは農地の集約による規模拡大と企業の進出によるビジネスチャンスの創出にすぎず、そのために邪魔になるJA全中と農業委員会を弱体化させ地方社会を実際に担っている農家経営の衰退をもたらし、農村の消滅を促進するだけでしょう。

 第3に、同じく、女性の活躍推進という問題です。これについても、安倍内閣が打ち出しているのは「エリート女性」の社会進出とキャリア・アップの支援にすぎません。
 社会の底辺で差別され、多くの困難を抱えている「ノン・エリート女性」は切り捨てられたままで、雇用改革による非正規労働の拡大はこのような女性の困難を解決するどころか、さらに増大させるだけです。ひとり親の女性や子育て支援などについても効果的な施策はなく、女性の家事労働時間を減らすためには男性の残業をなくすしかないのに、「残業代ゼロ」法案を準備してさらに労働時間を延ばせるようにしようなんて、まったく逆行していると言うしかありません。
 そもそも、安倍首相は「価値観外交」などと言っていますが、自由・民主主義・人権を守ろうとする意欲はなく、報道の自由や国民の知る権利、在日コリアンなどマイノリティの人権を守ろうとはせず、従軍慰安婦問題についての発言にもみられるように女性の人権についても無頓着です。女性活躍推進担当相についても、戦前の教育を再評価して伝統的な子育てに回帰することを推奨する「親学」の信奉者を据えるというチグハグさです。

 第4に、集団的自衛権の行使容認をめぐる問題があります。これから本格的な法案準備のプロセスに入るわけですが、公明党の「壁」、内閣法制局の「壁」、世論の「壁」という「3つの壁」を突破しなければなりません。
 集団的自衛権の行使容認をできるだけ限定しようとしている公明党との間では、適用範囲を日本周辺に限るのか、シーレーンの機雷封鎖解除にまで適用するのか、停戦以前でも可能とするのかなどの点についての合意ができていません。また、安保法制の改定という点では、内閣法制局が了承しなければ国会に法案を出せず、これまでの解釈をどこまで変えて、それをどのように条文に反映させるのかという点で法制局の対応が注目されます。
 もし、この2つの「壁」を突破することができても、最後の世論の「壁」を突破するのは容易ではないでしょう。共産党が勢力を増やした国会で本格的に審議されますから、その問題点や危険性はいっそう明らかになり、大きな大衆運動が盛り上がるにちがいありません。

 第5に、周辺諸国との関係をめぐる問題です。中国や韓国との関係改善は安倍首相には無理で、21世紀における友好関係確立のためには別の首相に代えるしかないということが明らかになってきました。
 問題は安倍首相が行っている個々の政策だけでなく、安倍晋三という個人が中国や韓国の首脳の信頼を全く得られていないという点にあります。これら両国との間がギクシャクしているのは日本の首相が安倍さんだからですから、正常な関係を確立するためには安倍さんに首相を辞めてもらうしかありません。
 それは日本の外交と国際的な評価にとっても、大いにプラスになります。安倍首相の最大の問題は、戦前の帝国主義と植民地主義を否定する立場になく、植民地支配と侵略戦争を反省していず、戦前の日本を肯定し美化することは戦後の日本を否定し貶め、戦後国際秩序への挑戦となるということを全く理解していない点にあるのですから……。

 
 この点とも関連しますが、第6に、戦後70年と安倍首相の歴史認識をめぐる問題です。来年は第二次世界大戦終結70周年に当たりますが、安倍首相は周辺諸国との新たな対立や摩擦を引き起こすことなく、この年を乗り切ることができるのでしょうか。
 「70周年」ですから新しい首相談話などを出して日本の立場を国際的に示すことが求められますが、かつての枢軸国の中で未だに周辺諸国との完全な和解が得られず、不和を引きずっているのは日本だけです。もし、その内容が侵略戦争や植民地支配の弁護、従軍慰安婦問題の否定など、少しでも戦前の「日本を取り戻す」ようなトーンを帯びていれば、たちどころに批判を浴びて外交問題に発展し日本の国際的な孤立を深めることでしょう。
 それは中国や韓国だけにとどまらず、他のアジア諸国やロシア、欧米諸国との関係にまで波及する可能性があります。再び靖国神社を参拝するのかという問題とも合わせて、安倍首相の言動が注目されるところです。

 
 これほどのジレンマと難問を抱えていながら「この道しかない」というのは、すでに安倍首相が解決能力を失っているからです。実際には「別の道」もあるのに、その道を見つけるだけの能力がないから「この道」しか見えないのです。
 見る力がなければ見つけることはできません。他の選択肢や別の解決策を見つけられないほどに統治の力や政策能力が衰えてしまったのが、今の自民党であり安倍首相なのです。
 この先、安倍首相の思い通りの政治運営がなされるとすれば、それは国民にとっての「大惨事」をもたらすことは必至です。もし、安倍首相が世論と衝突して政権の座を引きずり下ろされれば、それは安倍さんにとっての「大惨事」となることでしょう。

 しかし、これから難問に直面してどれほど追い込まれようと、安倍首相はもう逃げ出すことはできません。すでに、「伝家の宝刀」を抜いて解散してしまったのですから……。
 ぜひ、安倍暴走を阻止して政権の座から追い落とし、安倍さんにこう言わせたいものです。「やはり、第3次内閣は私にとっての『大惨事』内閣だったのか」と……。

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