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1月24日(土) 日本人人質2人の無条件解放を重ねて要求する [国際]

 中東の過激派組織「イスラム国」によって日本人2人を人質にとり身代金2億ドルを要求するという事件が発生し、72時間以内にお金を支払わなければこの2人を殺すというビデオが流れ、すでにその期限は過ぎました。しかし、2人の安否は不明です。
 このような脅迫行為は明白なテロであり、犯罪にほかなりません。断固として糾弾するとともに、2人に危害が加えられることなく、無事に解放されることを重ねて要求するものです。

 同時に、この事件に関連して指摘しなければならないのは、安倍首相の責任です。今回の事件のきっかけを与えたのは、安倍首相の中東歴訪であり、エジプトのカイロでの演説でした。
 そこで表明された「イスラム国」対策としての2億ドルの人道支援の表明が、絶好のタイミングで、格好の口実を与えることになったのはまぎれもない事実です。
 安倍首相は1月17日の阪神・淡路大震災20周年の式典をサボり、企業の幹部約100人を引き連れて中東4カ国の歴訪に出かけました。それは、中東地域に日本企業の売り込みを図るとともに、持論である「積極的平和主義」の実績を示すためだったと思われます。

 この時期に、このような形で中東を訪問する必要があったのでしょうか。人道支援は結構ですが、それを華々しくぶち上げるというパフォーマンスに問題はなかったのでしょうか。
 人道的な難民支援であれば、国連や赤十字(赤新月社)を通じて粛々と拠出すれば良かったのです。しかし、安倍首相には、通常国会を前に集団的自衛権の行使容認に向けての実績を示しておこうという思惑がありました。
 そのために、わざわざ中東地域に出かけ、今回のような目立つ形でパフォーマンスを行いました。それが格好の標的となって、今回の事件に利用されたというわけです。

 安倍首相の中東歴訪がなければ、今回のような事件は起きなかったのではないでしょうか。その責任は極めて大きいというべきでしょう。
 それにもかかわらず、一般のマスコミは、ほとんどこの点には触れず、沈黙を守っています。これは極めて奇妙なことであり、大きな問題だと言わなければなりません。
 2億ドルの拠出は難民の民生への援助であり、人道支援で非軍事的なものです。それを問題にするのは大きな誤解ですが、そのような誤解はどうして生まれたのでしょうか。

 そのような誤解を世界中に振りまいてきたのも、安倍首相自身ではありませんか。その最たるものは、集団的自衛権の行使容認によって日本を海外で「戦争できる国」に変え、アメリカとの同盟関係を強化しようとしてきたことです。
 そのために、アメリカの仲間だとして、日本は「イスラム国」から敵視されるようになってしまいました。アメリカの同盟国として空爆に参加している国と同じような敵だと見なされてしまったのです。
 それが、今回の事件を引き起こした大きな要因ではないでしょうか。しかも、エジプトでの人道支援表明に際しては「『イスラム国』対策」であることを明確にし、その直後にイスラエルに行き、人質事件についての記者会見はイスラエル国旗の前でした。

 今回の事件は安倍首相が目指している「積極的平和主義」の危険性を、はっきりと示しています。集団的自衛権の行使容認によって、中東やイスラム圏でも定着していた「平和国家」としてのイメージを、日本は大きく変えてしまったからです。
 そのようになれば日本人の安全が損なわれ、テロに巻き込まれる危険性が高まることは十分予想されていたはずです。その予想が、具体的な姿を取って現れたのが、今回の事件でした。
 集団的自衛権の行使容認が法制化され日米同盟が強化されれば、今後さらにこのような事件に日本人が巻き込まれる危険が増えるにちがいありません。そのような危ない道に踏み込んでも良いのでしょうか。

 中東地域での紛争や戦争に巻き込まれる危険性が高まっています。日本と日本人が敵視され、テロに巻き込まれるリスクを覚悟しなければならない時代が始まろうとしています。 
 戦後70年の今年、再び、戦争と平和のあり方、日本の進路が問われようとしているのです。このような年であるからこそ、憲法9条を守り、平和国家としてのあり方を断固として堅持しなければなりません。
 そのためにも、通常国会での集団的自衛権行使容認のための法改定を阻止する必要があります。日本は武力に訴えて国際紛争に介入するような国ではないということを、改めて世界中に示すことが急務になっています。

 後藤さんと湯川さんの2人は、そのような日本の国民であり、危害を加えられるような理由は全くありません。改めて、この2人の無条件での解放を強く求めるものです。

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