2月15日(日) 過労死促進法案による労働時間規制の解除という新たな「逆走」 [労働]
まだ、懲りないのでしょうか。こんなに過労死が社会問題となってきたのに。
あらゆる政策課題において安倍政権は民意に反し、問題を解決する方向とは逆に進もうとしています。このような「逆走」が、労働時間規制の分野でも始まりました。
過労死は過重な労働を長時間続けるところから生じています。それを防止するために必要なことは、労働の負荷を軽減し、働く時間を短くすることです。
こんなことは誰にでも分かるはずです。しかし、それが全く分かっていない人もいます。だから、このような法案が出てくるのでしょう。
労働時間の規制をなくして、働いた時間にかかわらず残業代や深夜・休日手当を支払わなくても良いようにするというわけです。残業代を支払わないというところから「残業代ゼロ法案」と言われていますが、本当は「過労死促進法案」と言うべきものでしょう。
厚生労働省は13日、労働政策審議会がまとめた報告書に新しい働き方を盛り込みました。安倍政権が掲げる成長戦略の目玉の一つで、労働側の反対を押し切ってのとりまとめです。
安倍首相は12日の施政方針演説で「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度、社会の発想を、大きく改めていかなければならない」と語って、「岩盤規制」の一環としての雇用分野の改革に意欲を示しました。新しい労働時間制度の導入は、その岩盤規制に風穴を開ける改革という位置づけになります。
この制度の創設は「時間ではなく、成果で評価する新たな労働制度を選べるようにする」として、政権の成長戦略に盛り込まれました。同じ様な制度は、第1次安倍政権でも検討されましたが、参院選を前に世論の猛反発にあって断念された経過があり、8年ぶりの再挑戦になります。
この制度の大枠を決定したのは、経済財政諮問会議や産業競争力会議ですが、そこには労働の代表は参加していません。当事者抜きで「改革」の大枠が決められているのは、農業改革や社会保障改革も同様です。
専門的な知識がなく、現場の状況も良く知らない財界や産業界の代表が旗を振っているわけですから、働く場の実情や実際に生じている問題を踏まえた解決策にならないことは当然でしょう。しかも、このような「改革」は、長時間の過密労働や過労死など労働現場で生じている大問題を解決するためではなく、あくまでも「成長戦略」の一環として打ち出されています。
経済の成長と企業のビジネス・チャンスの拡大に役立てるための「改革」であり、そのために邪魔になる「岩盤規制」に穴を開けることが目指されているわけです。その結果、「企業が活躍できる」社会になれば、過労死しようが家庭が崩壊しようが知ったことではないというわけです。
だから、労働政策審議会でこの制度の導入を求めたのが使用者側で、反対したのが労働者側でした。13日の労政審では、連合の新谷信幸総合労働局長が「労働者の健康と命を守る規制を外し、長時間労働をまねく」と反対しましたが、司会の岩村正彦東大大学院教授は報告書をまとめることを宣言し、昨年9月から10回を超えた労政審での議論は2時間足らずで終わったそうです。
労働側が反対しても決定を強行するというのでは3者構成になっている意味がありません。公益委員となっている研究者がそのお先棒を担いだというのも残念です。
この制度については様々な評価がありますが、少なくとも当事者である労働側の納得が得られるようなものでなければならないというのは最低限の条件でしょう。その下で働かされ、過労死や健康被害のリスクを負わされる当事者なのですから。
長時間労働への新たなゴーサインが出されたということになります。そうなれば、当事者の健康が破壊されるだけではありません。
家庭生活が阻害され、女性の社会進出の新たな障害が生まれ、少子化が促進されることにもなり、社会全体にも大きな影響を与えることになります。日本社会の将来にとっては、まさに「逆走」というしかない愚策にほかなりません。
あらゆる政策課題において安倍政権は民意に反し、問題を解決する方向とは逆に進もうとしています。このような「逆走」が、労働時間規制の分野でも始まりました。
過労死は過重な労働を長時間続けるところから生じています。それを防止するために必要なことは、労働の負荷を軽減し、働く時間を短くすることです。
こんなことは誰にでも分かるはずです。しかし、それが全く分かっていない人もいます。だから、このような法案が出てくるのでしょう。
労働時間の規制をなくして、働いた時間にかかわらず残業代や深夜・休日手当を支払わなくても良いようにするというわけです。残業代を支払わないというところから「残業代ゼロ法案」と言われていますが、本当は「過労死促進法案」と言うべきものでしょう。
厚生労働省は13日、労働政策審議会がまとめた報告書に新しい働き方を盛り込みました。安倍政権が掲げる成長戦略の目玉の一つで、労働側の反対を押し切ってのとりまとめです。
安倍首相は12日の施政方針演説で「労働時間に画一的な枠をはめる労働制度、社会の発想を、大きく改めていかなければならない」と語って、「岩盤規制」の一環としての雇用分野の改革に意欲を示しました。新しい労働時間制度の導入は、その岩盤規制に風穴を開ける改革という位置づけになります。
この制度の創設は「時間ではなく、成果で評価する新たな労働制度を選べるようにする」として、政権の成長戦略に盛り込まれました。同じ様な制度は、第1次安倍政権でも検討されましたが、参院選を前に世論の猛反発にあって断念された経過があり、8年ぶりの再挑戦になります。
この制度の大枠を決定したのは、経済財政諮問会議や産業競争力会議ですが、そこには労働の代表は参加していません。当事者抜きで「改革」の大枠が決められているのは、農業改革や社会保障改革も同様です。
専門的な知識がなく、現場の状況も良く知らない財界や産業界の代表が旗を振っているわけですから、働く場の実情や実際に生じている問題を踏まえた解決策にならないことは当然でしょう。しかも、このような「改革」は、長時間の過密労働や過労死など労働現場で生じている大問題を解決するためではなく、あくまでも「成長戦略」の一環として打ち出されています。
経済の成長と企業のビジネス・チャンスの拡大に役立てるための「改革」であり、そのために邪魔になる「岩盤規制」に穴を開けることが目指されているわけです。その結果、「企業が活躍できる」社会になれば、過労死しようが家庭が崩壊しようが知ったことではないというわけです。
だから、労働政策審議会でこの制度の導入を求めたのが使用者側で、反対したのが労働者側でした。13日の労政審では、連合の新谷信幸総合労働局長が「労働者の健康と命を守る規制を外し、長時間労働をまねく」と反対しましたが、司会の岩村正彦東大大学院教授は報告書をまとめることを宣言し、昨年9月から10回を超えた労政審での議論は2時間足らずで終わったそうです。
労働側が反対しても決定を強行するというのでは3者構成になっている意味がありません。公益委員となっている研究者がそのお先棒を担いだというのも残念です。
この制度については様々な評価がありますが、少なくとも当事者である労働側の納得が得られるようなものでなければならないというのは最低限の条件でしょう。その下で働かされ、過労死や健康被害のリスクを負わされる当事者なのですから。
長時間労働への新たなゴーサインが出されたということになります。そうなれば、当事者の健康が破壊されるだけではありません。
家庭生活が阻害され、女性の社会進出の新たな障害が生まれ、少子化が促進されることにもなり、社会全体にも大きな影響を与えることになります。日本社会の将来にとっては、まさに「逆走」というしかない愚策にほかなりません。
2015-02-15 06:52
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