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2月24日(火) 「改革」の失敗がもたらした政治の劣化と右傾化(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.739、2015年3月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

構造改革とアベノミクスの失敗―右傾化を生み出した貧困化と格差の拡大

 政治の右傾化にとっては、構造改革やアベノミクスなどの失敗が大きな要因となっています。これらの「改革」の結果、貧困化が進んで格差が拡大し、それによって生じた不満や疎外感が排外主義や右翼的ナショナリズムの背景となっているからです。
 所得や資産の格差を図る指数としてはジニ係数があります。この数値が大きいほど格差が大きいことになりますが、日本のジニ係数は1981年以降、一貫して増え続けてきました。
 厚生労働省の調査でも12年と13年の年収を比べれば、1000万円以上が172万人から186万人に14万人増えたのに対し、年収200万円以下も1090万人から1120万人へと30万人増えています。中間層が減り、富の集中と低所得層の増加が生じたことが分かります。
 その結果、若者を中心にして社会に対する不平・不満が高まりましたが、政治はその解決の道筋を示すことができず、鬱屈した感情が高まりました。そのはけ口が少数者に向けられ、差別と排除の対象とされたのが在日のコリアンなどです。
 安倍政権はそれを是正しようとはせず、社会的統合と支持基盤拡大のために利用してきました。こうしてヘイトスピーチが繰り返され、周辺諸国に対する敵意が高まり、右傾化と呼ばれるような排外的ナショナリズムが強まってきたのです。
 このような社会的風潮を背景に、日本会議議連と呼ばれる右翼的な議員集団も力を強めてきました。第3次安倍内閣の閣僚の大半がこの団体に属し、埼玉県議会の半数が日本会議議連のメンバーによって占められるなど地方でも増えてきています。

どうすれば良いのか

 これらの問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。政治家や政党の劣化・堕落、政治の右傾化を引き出した要因をなくすように努めなければなりません。そのための「政治改革」や「構造改革」のやり直しが必要です。
 諸悪の根源である小選挙区制をなくして比例代表制に変えること、政党助成金を廃止すること、貧困化と格差是正のための再分配政策を実施すること、正しい歴史認識に立ち戻り周辺諸国との関係改善につとめることが、政治の目標とされなければなりません。
 また、日本会議議連に加わっているような右翼的議員を議会から一掃する必要があります。先の衆院選では次世代の党という極右政党が壊滅的な打撃を受けました。来るべきいっせい地方選挙でも、地方政治で同様の結果を生み出すことが必要になっています。


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