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3月15日(日) 日本の政治を劣化させた元凶は21年前の政治改革だった [選挙制度]

 昨日の朝日新聞の朝刊の一面に大きく「安保法制 公明が大筋容認」という見出しが出ていました。いよいよ、集団的自衛権行使容認などの「戦争立法」が国会に提出されるようです。

 国会で審議されていた来年度予算案は衆院を通過し、参院に回されました。予算案の場合、衆院で可決されれば参院で可決されなくても30日経過すれば自動的に成立することになっています。
 今回の場合、3月13日に衆院を通過しましたから、4月11日には成立することになります。もはや、予算案を「人質」にとって審議を遅らせ、与党を追い詰めるという戦術はとれなくなりました。
 一時は、「政治とカネ」の問題で追及された自民党ですが、さし当り窮地を脱したようです。こうなったのは、補助金受給企業からの献金を受け取っていた政治家が次々に発覚して問題が拡散してしまい、加えて民主党の岡田代表にまで補助金受給関連企業からの献金が明るみ出て、民主党の腰が引けてしまったためでした。

 企業・団体献金を受けていれば、このような問題が生ずる可能性は避けられません。「知らなかった」と言って逃げられないような形で、現行法の「抜け穴」を塞ぐことが必要ですが、根本的には企業・団体献金をなくさなければなりません。
 もともと、政治改革が必要とされたのは金権・腐敗問題を解決することが目的でした。それを実現するために選挙制度を変え、政党助成金を導入した経過があります。
 しかし、選挙制度改革ということで小選挙区制を導入し、政党助成金の導入から5年後には廃止されるはずだった企業・団体献金はその後も残ってしまいました。その結果、日本の政治と政党は劣化し、「政治とカネ」の問題は解決せず。今日のような形で自民党内での一極集中と右傾化が進行してきたわけです。

 政治改革は失敗した、ということになります。現在、私たちが目にしている「政治とカネ」の問題の再現、「一強多弱」による野党の無力化と安倍首相の独裁化、改憲の危機の現実化と平和国家としてのあり方の大転換、キナ臭い空気の蔓延と戦争の足音の高まり、沖縄の民意無視による新基地建設の強行、福島での原発事故を忘れ去った原発再稼働への動きなど、現在の日本を覆っている暗雲は、このような失敗の帰結であったと言って良いでしょう。
 政治改革の失敗によって、安倍首相というモンスターが生まれました。その結果、平和と民主主義への脅威が、かつてなく高まっています。
 先の総選挙で自民党が小選挙区で得た有権者の支持(絶対投票率)は24.5%にすぎませんでした。有権者のたった4分の1の支持を得ただけで76%(小選挙区)の議席を獲得できるというカラクリに依存した多数支配は民主主義だと言えるのでしょうか。

 選挙自体が民主主義を破壊する制度に転嫁してしまったのが、今日の日本なのです。このようなインチキな制度を前提にした多数支配などに正当性はありませんし、民主主義と呼ぶこともできません。
 問題は、21年前の政治改革自体にあったのです。それこそが日本の政治を劣化させた元凶でした。
 「改革」とは「改悪」の別名にすぎませんでした。そのような言いかえによる誤魔化しに騙されてしまったツケを今、払わされているのではないでしょうか。

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