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3月23日(月) 「海外で戦争する国」にストップをかけるのは「今でしょ」 [集団的自衛権]

 誰が読んでみても、これまで以上に危険になるということは直ぐに分かるのではないでしょうか。今まではできなかったことができるようになり、今まで以上に自衛隊は海外に出ていきやすくなり、戦闘現場に近づくことになり、武器を使用しやすくなるのですから……。

 3月20日の与党協議会で最終的に合意された文書のことです。安保法制の整備という名で進められようとしている「戦争立法」の概要を示しているのがこの文書です。
 その構成は、総論に当たる「1 全般」と、各論に当たる「2 武力攻撃に至らない侵害への対処」「3 我が国の平和と安全に資する活動を行う他国軍隊に対する支援活動(周辺事態安全確保法関連)」「4 国際社会の平和と安全への一層の貢献」「5 憲法9条の下で許容される自衛の措置(自衛隊法、事態対処法等事態対処法制関連)」「6 その他関連する法改正事項」となっています。つまり、各論は5つに分かれています。
 当初、与党協議会で示されたのは、①グレーゾーン事態(3事例)、②国際協力(4事例)、③集団的自衛権(8事例)の3つでした。これが最終的には2つ増えていること、その増えた部分は「我が国の平和と安全に資する活動を行う他国軍隊に対する支援活動(周辺事態安全確保法関連)」の分野と「その他関連する法改正事項」であるということが、両者を比べてみれば直ぐに分かります。

 つまり、今回の「戦争立法」で対象とされている分野は、集団的自衛権の行使にかかわるものだけでなく、それを中心としながらも多方面に及んでいます。具体的には、以下のようになっています。

① グレーゾーン(武力攻撃に至らない侵害への対処)
 訓練中の米軍や他国の軍隊の「武器等防護」を可能にすること
② 後方支援(我が国の平和と安全に資する活動を行う他国軍隊に対する支援活動)
 周辺事態安全確保法から「周辺」を削除し、世界のどこででも給油や輸送などの後方支援を可能にすること
 「他国軍隊に対する支援活動」のための「新法」(海外派兵恒久法)を制定し、いつでもどこでも派兵できるようにすること
③ 国際的な平和協力活動(国際社会の平和と安全への一層の貢献)
 PKO法を改定して国連が統括しない復興支援や治安維持活動へも参加し、任務遂行のための武器使用も可能にすること
④ 集団的自衛権(憲法9条の下で許容される自衛の措置)
 武力攻撃事態法と自衛隊法の改定によって「新事態」を明記し、集団的自衛権の行使を可能にすること
 「新3要件」に合致すると判断されれば第三国に反撃できるようにすること
 ペルシャ湾での機雷掃海などシーレーン防護のための他国軍との共同対処を可能にすること
⑤ その他(その他関連する法改正事項)
 「領域国の受け入れ同意」がある場合に武器を使って在外邦人を救出できるようにすること
 船舶検査法を改定し、どこでも船舶検査ができるようにすること

 これらについて、「参加する自衛隊員の安全の確保のための必要な措置を定めること」とされていますが、その「措置」がどのようなものとなるかは明示されていません。少なくとも、このような活動に「参加する」方が、しない場合よりも「自衛隊員の安全」が格段に低下することは明白です。
 「国会の事前承認」についても明記されていますが、それはあくまでも「原則」であったり「基本」とされたりする限りでのものです。つまり、「事前承認」がすべての場合に必ず必要だというわけではなく、事後となる例外もあり得るということになります。
 国連決議についても、「関連する国連決議等があること」とされ、周到に「等」が付けられています。つまり、「国連決議」がなくてもそれに類するものがありさえすれば、実施が可能になるという抜け道が用意されているわけです。

 以上の結果、いつでも、どこでも、どのような戦争に対しても、自衛隊が参戦できるようになります。そのための法整備だから「戦争立法」だというのです。
 このような法律の整備は、たとえ参戦していなくても、日米軍事同盟と軍事協力の強化をもたらし、基地の維持費と軍事費を増大させ、周辺諸国の警戒感を高めて軍拡競争を煽り、日本周辺の安全保障環境をさらに悪化させるにちがいありません。その反面、力に頼らない、非軍事的な外交交渉による戦争要因の除去という本来行うべき国際紛争の解決努力を放棄することに繋がるでしょう。

 日本を戦争に巻き込み、自衛隊員の犠牲を生み出す危険性を高める誤った政策転換に対して、公明党の支持母体である創価学会の関係者は声を上げるべきではないでしょうか。宗教者としての矜持と良心をまだ失っていないのであれば……。
 自衛隊の関係者も仲間の命を守るために反対の意思を表明するべきでしょう。犠牲者が出てからでは遅いのですから……。

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