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4月15日(水) ドキュメンタリー映画「圧殺の海―沖縄・辺野古」が伝えるもの [在日米軍]

 海上保安庁は「海猿(うみざる)」ではありませんか。それなのに、あれではまるで「権力の犬」で、猿が犬に変わってしまったようですね。ええ、ですから私たちは「海犬(うみいぬ)」と言っています。

 昨日、ポレポレ東中野まで行って、ドキュメンタリー映画「圧殺の海―沖縄・辺野古」を見てきました。その時の影山監督と私との会話が、冒頭で紹介したものです。
 この映画は、普天間飛行場の移設予定地とされている辺野古での反対運動を描いたものです。キャンプ・シュワブのゲート前での建設資材の搬入に反対する激しい攻防や大浦湾の海上でのボーリング調査に抵抗するカヌー隊と海上保安庁の職員との攻防を迫力ある映像で記録しています。
 昨日は、夕方から「STOP安倍政権!6・13大集会」の実行委員会が予定されていました。「その前に見に行こうよ」と、カミさんに誘われてポレポレ東中野に立ち寄ったという次第です。

 辺野古での新基地建設には、沖縄県民の大多数が反対しています。そのことは、地元の名護市長選挙、名護市議選挙、沖縄県知事選挙、そして、基地反対派が小選挙区で全員当選した昨年の総選挙や8割が反対だという琉球新報の世論調査などでもはっきりしています。
 民主主義とは民意に基づいた政治運営のことですから、これらの民意を尊重した民主主義的な政治であれば、当然、辺野古での新基地建設は中止されるべきです。少なくとも、中断して民意との調整を図るというくらいの対応が必要でしょう。
 しかし、安倍首相は「丁寧に説明する」と言いながら、地元の翁長沖縄県知事とは会おうとしていません。顔をあわせずに、どうやって「丁寧に説明する」つもりなのでしょうか。

 このような民意に反する事業を強行する政府と沖縄の県民との対決の最前線が、キャンプ・シュワブのゲート前であり、大浦湾の海上です。そこでは、警備する警察官や警備会社アルソックから派遣されている警備員、海上保安庁の係官が反対派の取り締まりを行っているわけですが、「アブナイよ」と言いながらもっと危なくなるような行為を行ったり、海に落ちた反対派を助けるふりをしながら沈めたりする姿が映し出されていました。
 「取り締まる側も辛いだろうなあ」と、これらの映像を見て、そう思いました。民意に基づく「正当性」は、取り締まる側にではなく反対する側にあるのですから……。
 そのうち、正当性のない業務遂行命令によって精神的な苦痛を受けたとして、業務執行命令の停止や精神的苦痛に対する損害賠償を求める訴訟が、取り締まる側の人々から提起されるのではないかと思いました。アルソックの警備員は抗議されると下を向いてしまうそうですから、取り締まる側の人々の中からPTSD(心的外傷後ストレス障害)などが発生するのではないかと心配にもなりました。

 映画が終わってから1時間ほど、辺野古に拠点を構えて撮影を続けている藤本幸久監督と影山あさ子監督、それに東京新聞の半田滋記者の3人によるシンポジウムがありました。発言の大半は半田さんによるものでしたが、私は昨年の政治学会前日の研究会で半田さんにお会いしたことがあり、最近出版した拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』も献本しています。
 半田さんは、普天間飛行場の移設問題について歴史的に振り返り、アメリカは海外基地の整理・縮小の方針に転じていること、沖縄の米軍は第3海兵遠征軍であり、その存在は軍事的というより政治的な意味の方が大きいこと、普天間基地の米軍は実戦部隊の大半がグアムに移転したため「抑止力」にはならず、オスプレイが駐留する意味もほとんどないことなどを説明されました。
 終わってから質問する機会がありましたので、私は「翁長さんは日本政府よりもアメリカの世論に直接働きかけようとしていますが、どれほど効果がありますか」と質問しました。「アメリカの国民や政治家は日本についての関心が低く、沖縄についてはほとんど知らないから、そこに働きかけることは極めて重要です」というのが、半田さんの答えでした。私も、そこからしか解決の糸口は見いだせないのではないかと思います。

 このドキュメンタリー映画「圧殺の海」は好評で、4月24日までアンコール上映されています。ぜひ、多くの方にご覧いただきたいと思います。
 最後に、「辺野古を撮り続けて」と題したお二人の共同監督の文章の一部を紹介しておきましょう。

この海は、誰のものなのか。

安倍政権が目指す「戦争する国」づくりの最前線・辺野古。
私たちは、今日も、そのど真ん中で、カメラを回し続けている。
中央メディアが取材に来ない沖縄。地元メデイアも排除される辺野古。
周到に準備された「無関心の壁」に一穴を穿ちたい。
私たちの未来の行方が、封じられ、圧殺される前に。

 この映画を見ていたころ、福井地裁による高浜原発3、4号機の再稼動を認めないという仮処分決定に対して、菅官房長官は「エネルギー政策は“粛々”と進めたい」と発言していました。またもや、「粛々オジサン」の暴言です。
 民意が示されてもそれに従わず、裁判所の仮処分が出てもそれに従わない。これが民主主義の国なのでしょうか、民主主義という価値観を共有していると言えるのでしょうか。

拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社、定価1300円+税)刊行中。
購入ご希望の方は学習の友社http://blogs.yahoo.co.jp/gakusyu_1/folder/197776.htmlまで。

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