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7月15日(水) 「戦争法案」の衆院特別委員会での強行採決を糾弾する [戦争立法]

 衆院特別委員会で、「戦争法案」の強行採決が行われました。このような暴挙を断じて許してはなりません。強く糾弾するものです。

 強行採決の方針は、昨日の特別委員会の理事会で自民党によって示されました。その時、私は「安保関連法案に反対する学者の会」の一員として国会にいました。
 学者9766人の廃案要請を携えて、各党への申し入れを行うためです。佐藤学さん、広渡清吾さん、上野千鶴子さん、内田樹さん、間宮陽介さんなど14人の研究者が参加しました。
 私は民主党の長妻昭議員の部屋に行きましたが、同時刻に理事会が開かれていたため不在で、秘書の方が応対してくださいました。明日にも強行採決があるかもしれないという緊迫した国会情勢が話され、私たちは最後まで反対を貫くよう要請して激励してきました。

 今日の朝日新聞の一面には「イラン核協議 最終合意」という記事が出ています。先日は自民党の二階総務会長が3000人の代表団を連れて中国を訪問し、安倍首相も訪中の可能性を探っているという記事が出ていました。
 このような時に、どうして「戦争法制」なのか、と誰もが不思議に思うことでしょう。「安全保障環境」は「悪化」しているどころか、明らかに「改善」しているのですから……。
 その必要性が分からないような法案を、なぜ今、無理やり成立させようとするのでしょうか。世論調査では反対が多く、石破さんや安倍首相自身でさえ国民の理解が進んでいないことを認めているというのに……。

 政府・与党は59年の砂川事件最高裁判決と72年の閣議決定を集団的自衛権行使容認の根拠として示しています。しかし、この判決と閣議決定によって集団的自衛権の行使が認められるようになったというのであれば、どうしてその時に集団的自衛権行使容認という憲法の解釈変更を行わなかったのでしょうか。
 砂川判決からは半世紀以上も経ってから、閣議決定からでも半世紀近くの歳月を経てからそれを行ったのは、誰もそれが集団的自衛権の行使を容認する内容だと考えなかったからです。それも当然でしょう。集団的自衛権については何も書かれていないのですから……。
 当時は「自衛権」といえば個別的自衛権だというのが常識でしたから、この判決や閣議決定が集団的自衛権の行使を容認するものだとはだれも考えなかったのです。しかも、砂川判決は三審制を無視して地裁から最高裁に跳躍上告され、事前に判決内容が駐日米公使に漏らされていたなど、違法性の強い判決でした。

 今回、それが大きく変わったのは、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を打ち出したからです。その意向を汲んで高村さんが「何か使えるものはないか」と探し回ったあげく、見つけたのがこの判決と閣議決定だったのです。
 先に、集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更という意図があったのです。そのために歴史の屑籠の中から拾い出されてきたのが、この判決と閣議決定でした。
 しかし、それは「集団的自衛権」の「集」の字も書かれていない「欠陥品」でした。仕方なく、「自衛権」の前に勝手に「集団的」とくっつけて、解釈変更の根拠にでっちあげたというわけです。

 これで騙されるのは公明党ぐらいだったでしょう。いや、その公明党でさえ「欠陥品」であることを知っており、根拠として明示することに反対したため、昨年7月1日の閣議決定では言及されませんでした。
 それなら、このような「欠陥品」ではなく、もっとはっきりと集団的自衛権の行使容認を認める最高裁判決などを根拠にすれば良いのにと、誰もがそう思うでしょう。ところが、そんなものはありません。
 辛うじて使えそうなものは、この二つしかなかったのです。いかに「欠陥品」であっても、使えそうならむりやり使うしかないということで、その後の国会審議で再びこの二つが根拠として示されることになりました。

 与党の仲間である公明党でさえ騙されなかった「欠陥品」です。国民の多くが騙されるはずがありません。
 ということで、審議が進むにつれて、その「欠陥」が次第に明らかになってきました。まして、専門の憲法学者がこのような「欠陥品」によって合憲だなどと納得させられるはずがありません。
 自民党推薦の長谷部早稲田大学教授をはじめ3人の参考人がはっきりと「憲法違反だ」と答えたのは当然でしょう。そう答えなかったら、憲法研究者としての能力と資格が問われたにちがいありません。

 このような問題があってもなお、自民党は特別委員会での採決を強行しました。このことを、忘れないようにしたいものです。
 野党が反対する下での採決の強行は、議会制民主主義の破壊にほかなりません。安保闘争の時は、強行採決の後、議会制民主主義を守れという大波が国会をとりまき、反対運動はかえって大きくなりました。
 今回も、安保闘争のような大波を生み出し、与党の暴挙を糾弾する必要があります。そして、岸首相の退陣を実現した時と同じように、安倍首相を退陣に追い込まなければなりません。

 奇しくも55年前の今日、安保条約の衆院採決を強行して自然成立を図った岸首相は退陣しました。この歴史を繰り返すに足る大波を生み出すことで、安倍政権を打倒しようではありませんか。
 その波の一つになるべく、今日これから、私は国会正門前に行くつもりです。この暴挙の日を忘れないためにも……。

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