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3月29日(火) 安保関連法(戦争法)は施行されても廃止をめざさなければならない [戦争立法]

 今日、安保関連法(戦争法)が施行されました。それでもなお、廃止をめざさなければなりません。
 この法律によって、日本と国民が戦争とテロに巻き込まれる危険性が増大しているからです。それが施行され、実際に使える法律として機能し始めれば、その危険性はさらに大きなものとなるでしょう。

 今日施行されるのは、国際平和支援法という新法と、これまでの法律を改定した武力攻撃事態法、自衛隊法、重要影響事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、国家安全保障会議(NSC)設置法、米軍行動関連措置法、特定公共施設利用法、海上輸送規制法、捕虜取り扱い法です。このうち、周辺事態法を改定した重要影響事態法以外の10の法律は「平和安全法制整備法」として一括して改定されました。
 これらの法律によって、憲法が禁じる武力行使に当たるとしてこれまで認めていなかった集団的自衛権の行使が可能になるほか、他国軍への後方支援や国際協力活動での自衛隊の任務が拡大します。施行後は、日本と密接に関係する他国への攻撃によって日本の存立が脅かされる「存立危機事態」では集団的自衛権として必要最小限度の武力を行使できるようになります。
 また、米軍など他国軍への後方支援には地理的制約がなくなり、弾薬の提供や発進準備中の戦闘機への給油など支援内容が広がります。平時でも、共同訓練など「日本の防衛に資する活動」に従事する他国軍を自衛隊が防護でき、国連平和維持活動(PKO)では、離れた場所にいる他国軍部隊などを救出する「駆け付け警護」が新たな任務に加わります。

 防衛省は施行を前に「安全保障法制整備検討委員会」を開き、中谷元防衛相は「戦争を未然に防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠な法律だ。引き続き慎重を期して準備作業、教育訓練を進めてほしい」と指示しています。「戦争を未然に防ぐ」ということは、これらの法律が施行されれば戦争が起きなくなるということを意味しています。
 これが「抑止力」というものです。安倍首相も、これらの法律によって「抑止力」が高まり、日本周辺の安全保障環境が改善するとし、だから「平和安全法制」略して平安法と呼んでほしいと言っていました。
 しかし、今までだって、自衛隊は他国で「殺し、殺される」ことはありませんでした。逆に、この法律が制定されたことによって戦争やテロに巻き込まれる危険性が低下するどころか、初めて「殺し、殺される」危険性が生じているのではないでしょうか。

 法律は昨年9月19日に成立しました。その翌月、バングラディシュで農業支援の活動を行っていた66歳の日本人男性が殺害され、現地のIS(イスラム国)支部が犯行声明を出しました。
 安保関連法成立後に生じた最初の日本人犠牲者だと言えるでしょう。昨年のはじめに2人の日本人が殺され「安倍よ、お前の悪夢を始めよう」とISが宣言して国際テロの脅威が増しているその時に、アメリカと一緒に闘うための法整備を行い有志連合の一員としてさらに大きな役割を果たすことを国際社会に明らかにした結果が、このような形で現れたことになります。
 他方、北朝鮮は今年に入ってから「水爆実験」やロケットの発射、ミサイルの試射などを行っており、韓国との間での戦争の危機が高まっています。安保関連法が整備されたことによって日米間の同盟関係が強化されたと安倍首相は胸を張っていますが、その結果、朝鮮半島での戦争に日本が巻き込まれる危険性も一段と強まっていると言わなければなりません。

 国際テロの脅威は、中東地域のみならずフランスやベルギーなどヨーロッパにも拡大を見せています。日本周辺での偶発的な軍事衝突の危機も強まっています。
 そのような時に、安保法制を整備してアメリカとともに国際紛争に関与し、日本の若者の血を流すような法整備を行ったわけです。その結果、軍拡競争はさらに激しさを増し、日本周辺の安全保障環境は極度に悪化し続け、軍拡競争はエスカレートしつつあります。
 最悪のタイミングで、最悪の選択を行ったと言わなければなりません。だからこそ、安保関連法の整備によって自衛隊の活動が拡大され、アメリカとともに海外で戦争できるようになったから安心だという国民はほとんどいず、逆に不安感が高まっているからこそ、施行されても具体的な任務の拡大は参院選後まで延期されることになったのです。

 政府も防衛省も、この法律に対する国民の理解が進んでいないことを良く知っています。しかし、昨秋の臨時国会の開催要求を拒み、野党が提出した廃止法案の審議を行おうとせず、たな晒しにしてきました。
 法律への理解を促進するための絶好の機会であるにもかかわらず、このような逃げの姿勢を取り続けているのは、いくら説明しても理解されないと思っているからです。逆に、説明すればするほど、戦争やテロに巻き込まれるのではないかとの不安を高めてしまうことが分かっているからです。
 これらの法整備は、日本が攻撃されていなくても、一定の条件があれば自衛隊が海外に出かけていって米軍を守ったり戦闘の手伝いをしたりできるようにするためのものです。自衛隊のリスクが高まり、日本が戦争に巻き込まれる危険性が増すのは当たり前です。今までできなかった制約を取り払い、自ら進んで戦争を手伝いに出かけて行くのですから。

 テロは武力によってなくすことはできず、「テロとの戦い」によってかえって国際テロを増大させてきたというのが、2001年の同時多発テロ以降の教訓です。アメリカが始めたイラク戦争やアフガン戦争はいずれも不正義の戦争であって間違ったものでした。それによって平和も安全ももたらされませんでした。
 これらの教訓や経験が明らかになっているにもかかわらず、日本はアメリカの後追いをしようとしています。間違った解決方法を正すのではなく、それを手伝おうとしているのです。
 日本の安全のためにも、世界の平和にとっても、全くの逆行でしかありません。武力ではなく話し合いで、ハードパワーによってではなくソフトパワーを通じてしか真の平和は実現できないということを、憲法9条を持っている日本こそ国際社会に示さなければならないその時に、これを空洞化し、9条を投げ捨てようとしているわけです。

 何と愚かなことでしょうか。今、ここで踏みとどまり、進行方向を切り替えなければなりません。
 それは国際社会において日本が果たせる独特の役割であり、日本の安全と世界の平和に大きく寄与することになります。そのためにも戦争法を廃止しなければなりません。
 安倍政権を倒して、戦争法の廃止を可能とするような政府を実現する必要があります。そのための政治決戦こそが夏の参院選(衆参同日選挙?)であり、その結果いかんは日本のみならず国際テロと戦争の脅威に悩む世界の前途を左右することになるでしょう。


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