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6月8日(水) 書評:川村俊夫『「戦争法」を廃止し改憲を止める―憲法9条は世界の希望』(学習の友社) [論攷]

〔以下の論攷は、『しんぶん赤旗』2016年6月5日付、に掲載されたものです。〕

 論点を整理 たたかう意義解明

 そのものずばりの本である。いま最大の課題になっている「戦争法」(安保法制)の廃止と改憲阻止に向けての理論的検証が本書の課題だからだ。200ページに満たないコンパクトさだが、戦争法と憲法9条をめぐる経過と論点が手際よく整理され、学習会などのテキストとして最適だと言えよう。
 著者は1965年に憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)結成と同時に事務局専従となり、2004年の9条の会発足と同時に事務局員になっている。まさに9条護憲と戦争法反対運動を担ってきた“歴戦の強者(つわもの)”である。本書にはその“戦歴”が十分に生かされており、事実をふまえた論述には説得力がある。
 本書は5つの章からなっている。戦争法についてのデタラメな政府説明を反駁した第1章と憲法9条をめぐる戦後70年間のせめぎあいを振り返った第4章は、読者の記憶を呼び起こし、問題となった事実や論点を整理するうえで有益である。
 憲法9条制定のプロセスを振り返って原点を検証した第2章と戦争違法化に向けての国際社会の動きを検証した第3章によって、憲法第9条がもつ歴史的・先駆的内容とその意義を再確認し、憲法9条こそ「最先端」で「世界の希望」であることが理解できる。第5章は、自民党改憲案の危険な内容を簡潔に批判し、それを許さない闘いの意義を明らかにしている。
 戦争法は成立したが、2000万署名運動や野党の共同など闘いは続く。参院選は戦争法を廃止して「新しい歴史を切り開く正念場」になろうとしている。この闘いの武器として、本書が広く活用されることを望みたい。

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