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6月13日(月) 労働組合運動はなぜ重要なのか(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』6月号に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 「いまさら労働組合なんて」と思っている人がいるかもしれません。労働組合運動の低迷もあって、労働という言葉も労働組合運動についても、今やマスコミでは「死語」扱いになっているからです。
 しかし、働くことも働く人々もいなくなったわけではなく、その人々の環境や条件が大きく改善されたわけでもありません。また、昨年の戦争法に反対する運動では、自治労や日教組が参加する連合系の「戦争をさせない1000人委員会」や全労連などが加わる「憲法共同センター」、市民団体という3つの潮流による「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が中心になったように、労働組合も「縁の下の力持ち」として重要な役割を果たしました。
 それなのに、なぜ「死語」となってしまったのでしょうか。「死語」としてしまったままで良いのでしょうか。労働組合とは何か、その運動はどのような課題を持ち、なぜ重要なのか。基本に立ち返り、この問題について考えてみることにしましょう。

1、 労働組合とは何か

 大衆的で階級的な団体

 働く人々が自らの利益や要求の実現をめざして団結する組織が労働組合です。思想・信条や政党支持などにかかわりなく誰でも入れる大衆的な組織であると同時に、資本家階級による搾取と抑圧に反対して闘う階級的な組織です。その基本的な原則は、資本からの独立、政党からの独立、一致する要求に基づく行動の統一の3点です。
 構成員の利益の実現をめざして活動する点では、労働組合も他の利益団体と基本的には変わりませんが、ただ一点だけ、大きな違いがあります。それは生産活動を止めることによって資本家に圧力をかけることができるということであり、これがストライキと呼ばれるものです。
 労働組合は憲法や法律で保護されており、スト権が確立されていれば、労働組合の正当な権利としてストライキが認められています。このような強力な武器を背景に、労働組合は要求実現の活動を行います。これが労働組合運動の原点であり、その力の源泉はここにあります。

 労働組合の目的

 労働者は自分の働く能力(労働力)を売ることによってはじめて対価(賃金)を得ることができます。しかし、両者の力関係は対等ではありません。労働力は労働者の身体に属しているために保存することができず、働きたい人が沢山いてバラバラに交渉すれば安く買いたたかれてしまうからです。
 このような不利な条件を克服するとともに、搾取と抑圧の制度そのものをなくすことをめざして労働組合が誕生しました。皆が入って団結すれば競争を抑制でき、困ったときには助け合え、ストライキを背景に集団で交渉(団体交渉)すれば対等な立場になれます。また、搾取制度をなくして新しい社会を作るために、政治を変える統一戦線運動の一翼を担うことも労働組合の大切な目的になっています。
 同じような仕事をしている労働者を幅広く仲間にすれば、団結力が高まり交渉力も強まります。同じ産業で働く人々を中心に組織するのが産業別労働組合で、同じ企業や事業所などで働く人々を組織するのが企業別労働組合です。日本の労働組合は企業内や企業グループごとに組織されている場合が多く、企業の利害にとらわれやすいという弱点を持っています。

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