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6月14日(火) 労働組合運動はなぜ重要なのか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』6月号に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

2、 労働組合運動の領域

 経済的な領域

 労働組合運動が活動するのは、まず第1に経済的な領域です。雇用・賃金などの労働条件は労使間の交渉を通じて決まります。これは産業や企業内部で自主的に、また日常的に取り組まれます。
 日本の場合、とりわけ賃金や労働時間などに関わる交渉は春に足並みをそろえて実施されるのが通例になっています。これが春闘(「春季闘争」「春季生活闘争」「春季労使交渉」などの略)で1955年から始まりました。この春闘などの集団的な交渉を通じて、毎年、その年の賃金や労働時間などが決まります。

 政治的な領域

 第2に、政治的な領域があります。雇用の形態や失業補償、最低賃金、労働時間の規制などにかかわる法律や制度を改善するために、政府や自治体を相手に取り組む必要があるからです。労働条件の改善のためにも搾取をなくすためにも、労働組合は経済闘争と政治闘争を統一して取り組まなければなりません。
 具体的には、労働基準法・労働組合法・労働関係調整法という労働3法など労働関連の法律や制度についての政策・制度闘争、労働の規制緩和や非正規労働者の拡大に反対する運動、税制や社会保障制度に関わる運動などです。また、一致した要求にもとづく労働組合と政党との協力・共同は、要求実現のためにも平和を守り民主主義を確立するためにも必要です。

 思想的イデオロギー的な領域

 第3は、思想的イデオロギー的な領域です。労働組合の団結や活動のあり方にとって組合員の考え方や感じ方は重要な意味を持つからです。労働組合員の政党支持は自由で、労働組合は組合員の政治活動の自由を保障しますが、同時に、学校教育やマスコミ、企業内教育などを通じた政府や財界からの思想的な攻撃に反撃する必要があります。
 このような思想的な攻撃は、搾取・対立関係を否定する労資協調主義、悪いのは自分だと思い込ませることで権利意識をマヒさせる自己責任論、共産党に対する偏見と敵視を振りまいて団結を阻害する反共主義などの形で現れます。これに打ち勝って、労働者の階級的な自覚を高めるためには、社会の仕組みや労働組合運動の意義と重要性についての学習活動が欠かせません。

 職業的専門的能力の向上

 第4に、職業的専門的能力の向上に取り組む必要があります。とりわけ職能的な労働組合にとって、専門的な能力を向上させたいという組合員の要求に応えることは重要です。
 一般的な労働組合であっても、職業人としての技術や能力を身に付け、向上させるための職業教育に取り組むことが必要です。職業人として職場の信頼を勝ち取るためにも、技術の発展に遅れないためにも、労働組合としてもきちんと位置付けてこのような能力の向上に取り組まなければなりません。

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