SSブログ

7月2日(土) 現代の多様な社会運動の意味(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』2016年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

3、民主主義の揺りかご

 何が変わるのか

 社会運動に取り組み、デモやパレードをすることや集会に参加することで何が変わるのでしょうか。それぞれの運動が掲げているテーマを示すことによって、社会の中での問題の存在を知らせることができます。困っている人が声を上げることができ、デモや集会が行える社会に変えていくこともできます。
 また、社会運動に関わることによって、問題の所在を知り、困っている人に寄り添い、解決を求めてデモや集会に参加することをいとわない自分に変わっていくことができます。政治や社会に対する関心を高め、他人事として見過ごすことをせず、主権者としての権利を行使することができるようになります。
 民主主義とは国民が主権者であるということを意味しています。問題に気が付いたり新たに発生したりしたら、その解決を政治家任せにせず自ら声を発することが必要です。そうすれば「お任せ民主主義」を脱し、新たな民主主義を生み出すことができるにちがいありません。その意味で、社会運動は民主主義の揺りかごなのです。
 初めから諦めてしまって何もしなければ何も変わりません。無知や無関心は無力感を生み出して私たちから力を奪います。結果はどうあれ、まず自分が感じた怒りを素直に表現することが大切です。自由と人権は不断の努力によって保持され、権利は行使することによってしか守られないのですから……。

 運動の効用

 このような社会運動の効用としては、第1に、機能不全に陥っている間接民主主義を直接民主主義によって補修することができます。主権者が声を上げることによって、民意を直接国政に届けることができるからです。小選挙区制という選挙制度によって民意が捻じ曲げられている現状では、その意義は極めて大きくなっています。
 第2に、政治や行政にとっての効用もあります。問題の発生と所在を教えてもらうことができるからです。国民の不平や不満、反対が高まることによって運動は起きますから、いかなる問題についてどのような不満や反対がどのような地域や階層に存在しているかを当局者は知ることができ、適時・的確に対応することができるようになります。
 第3に、社会を健全にし、心身ともに個人の健康を増進することができます。いつでも要求をぶつけたり異議申し立てをしたりすることができるのは風通しの良い社会の証拠であり、主権者の意思が政治に反映できるまともな社会の姿です。そのような社会を生み出すために政治や社会への関心を持ち続けて集会やデモなどに出かければ、ボケることなくストレス解消や足腰の鍛錬にも役立ちます。運動は社会を健康にするだけでなく、個人を健康にするためにも役立つのです。素晴らしいことではありませんか。

nice!(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

トラックバック 0