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7月12日(火) 参院選で新たな可能性を切り開いた「野党共闘」の効果と教訓 [参院選]

 今回の参院選では初めてということがいくつかありました。その一つが1人区での「野党共闘」の成立です。
 「果たしてどれほどの効果があるのか」という危惧の声もなかったわけではありません。しかし、実際には予想以上に大きな効果を生み、そこから教訓を汲み取って今後の選挙に生かすことが必要でしょう。

 第1に、議席増の効果がありました。1人区での選挙協力によって、民進党公認15人、共産党公認1人、無所属16人が立候補し、民進党7人、無所属4人が当選しました。
 戦績は11勝21敗での負け越しでしたが、2013年の前回参院選での2勝19敗という惨敗からは大きく盛り返しています。前回との比較で9議席増えたわけですが、このような成果は野党共闘なしには不可能だったしょう。
 とりわけ、福島と沖縄の1人区では現職大臣を落選させることによって安倍政権に一矢報いることができました。その政治的な意味は極めて大きいと言えます。

 第2に、このような共闘の効果は議席増以上に得票の増加によって示されています。共闘によって各政党が獲得している票数の「足し算」以上の効果が上がっていることがはっきりと示されたからです。
 野党4党の比例区での得票合計と選挙区での得票を比べたら、28選挙区で上回っていました。最も多かったのは山形選挙区で、比例区での合計より71%も多くなり無所属共同の舟山候補が当選しています。
 出口調査では、無党派層の8割、自民党支持者の3割の支持があり、公明党支持者も24%が野党共闘の候補者に投票していたと言いますから、共闘の効果は極め大きく1+1=2という「足し算」以上の効果を発揮することが実証されました。

 第3に、投票率も大きく上昇しています。野党4党が統一候補を擁立したため、自民党候補と事実上の一騎打ちとなって有権者の関心が高まったからでしょう。
 合区の2選挙区を除く30選挙区のうち26選挙区で前回より投票率が上昇しました。最も上昇幅が大きかったのは青森で、前回と比べて9ポイントも伸びてまいます。上昇幅が大きい上位10選挙区のうち、静岡を除く9選挙区が1人区でした。
 共闘すれば一騎打ちになるだけでなく、野党側にも勝てるチャンスが生まれ、運動にも力が入り有権者の関心も高まります。接戦になればなるほど相乗効果を生んで投票率を高めるということも、野党共闘の大きなメリットだということが証明されました。

 第4に、このような野党共闘は共闘に加わった各政党にとってもメリットがあったように思われます。民進党は野党共闘の主力となったことによって民主党時代の汚れたイメージを部分的に払拭し、17議席にとどまった3年前よりほぼ倍増して32議席となるなど、反転への手がかりをつかみました。
 野党共闘の推進力となった共産党は、選挙区で議席に関わる選挙に取り組むことができるようになりました。1人区では当選の可能性がないということでカヤの外に置かれ、「独自のたたかい」を強いられてきたこれまでの選挙とは大きく様変わりしています。
 残念ながら比例区で1議席に終わった社民党への恩恵はなかったようですが、生活の党と山本太郎と仲間たちは比例区での1議席獲得に成功し、1人区でも党籍のある候補者を岩手選挙区と新潟選挙区で当選させました。この間、野党共闘を実現するうえで小沢党首は大きな役割を果たしましたが、そのことが評価され功を奏したということでしょう。

 野党共闘は以上にみたような効果を上げました。それを教訓にして更なる前進を図る必要があります。
 そのためには、残った課題を解決しなければなりません。しかし、それは共闘を見直すとか縮小するとかというものではなく、もっと拡大して効果をさらに高めるための課題にほかなりません。
 まず、大阪や兵庫で生じたような共倒れを防ぐために複数区でも野党共闘のあり方を工夫する必要があります。同様に、比例代表でも野党共闘の効果が発揮できるようにすること、鹿児島県知事選挙のように地方選にも野党共闘を拡大していくこと、さらには、来るべき小選挙での勝利を目指して、小選挙区での野党共闘のあり方について今からでも検討を開始することなどが必要でしょう。

 今回の野党共闘の進め方について、それぞれの選挙区での実情を調査して今後の教訓とすることも重要です。たとえば、1人区で唯一、統一候補が共産党公認だった香川では候補者票の方が比例票より15%低くなっていますが、それは民進党が推薦せず自主投票だったためだと思われます。
 このような協力のあり方に問題がなかったのか、事後的な検証が必要でしょう。それによって、勝つためにはどうすべきなのか、どうしてはならないのかを明らかにし、次の選挙に向けての教訓としなければなりません。

 今回の経験によって、新しい政治変革の可能性が開かれました。すぐには大成功ということにはなりませんでしたが、今後の選挙への取り組みに生かされるべき多くの教訓が生まれています。
 その教訓を生かして野党共闘の威力を発揮すべき選挙闘争がただちに訪れようとしています。東京都知事選挙という次なる闘いの場が。
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