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8月5日(金) 第3次安倍再改造「暴走加速」内閣の発足 [内閣]

 安倍首相は内閣改造と自民党役員人事を行い、第3次安倍改造内閣が発足しました。これまでの内閣と骨格が変わらないばかりか、これまでより以上に「エンジンを吹かせる」ことを狙った「暴走加速」内閣になっています。

 暴走を加速するだけではありません。安倍カラーを一段と強めて、右へと大きくハンドルを切るための布陣がなされています。
 それを象徴的に示しているのが、稲田朋美防衛大臣の起用でした。早速、中国や韓国のマスコミは「歴史修正主義の傾向がある強硬右翼の人物が抜てきされた」「憲法9条の改正を一貫して主張している」「保守的な政治信条は安倍首相に近い」と報じて警戒感を示しています。
 稲田さんが極右の改憲論者で靖国神社への参拝を繰り返してきた人物であることは海外でもよく知られています。そのことを安倍首相も知ったうえでの起用ですから、警戒感をもたれることも覚悟のうえで挑発しているようなものです。

 海外からの反応がどのようなものであるかを見極めながら、引き続き軍国化政策にそれを利用していくつもりなのでしょう。これまでも歴史認識や安保法の成立強行など挑発的な言動によって相手の反発や過剰反応を引き出して危機を醸成しつつ、逆にそれを口実にして軍拡と改憲に向けての条件整備を図ってきました。
 周辺諸国の反発も織り込んだ稲田防衛相の起用も、このような挑発手法の継続であるように見えます。周辺諸国による危機感の表明や反発の高まりなど、想定内のことかもしれません。
 しかし、それが想定内にとどまらず、対立を高めて関係悪化をもたらして中国や北朝鮮との偶発的な衝突や不測の事態を引き起こす危険性もあります。これまで稲田さんが繰り返してきたタカ派的な言動が国会で追及されることは明らかで、もし国務大臣としての立場や政府見解との整合性を図ることができなければ安倍政権の最大のアキレスけんとなるジレンマも抱えています。

 暴走の加速ということで言えば、参院選が終わった直後から、すでに始まっていました。沖縄県高江ではオスプレイの発着用ヘリパッド建設に向けての工事を始め、辺野古での新基地建設に向けての和解を破棄して裁判を再開して地上部分での工事を強行しようとしています。
 原発問題でも、再稼動と建設促進に向けての暴走が加速されつつあります。運転開始から40年になる福井県の美浜原発3号機について、原子力規制委員会は関西電力の安全対策が新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめて再稼働への道を開き、山口県上関町では中国電力が建設を目指す原発について、県は建設予定地の海を埋め立てる工事の免許延長を許可しました。
 この原発を所管する経済産業大臣に抜擢されたのが世耕弘成さんです。第2次安倍政権発足時から官房副長官として「メディア対策」を担ってきた側近中の側近で、改憲団体である「創生『日本』」の副会長にして神道政治連盟国会議員懇談会のメンバーですから改憲・タカ派という一面も持ち合わせています。

 安倍首相は記者会見でこの内閣を「未来チャレンジ内閣」と名付けました。これは表の看板にすぎません。
 この看板の裏には「延長チャレンジ内閣」や「改憲チャレンジ内閣」と書かれています。自民党総裁としての任期延長や改憲への道筋をつけることを、ひそかに狙っているからです。
 8閣僚を留任させて骨格を維持しながら、派閥のバランスを考慮しつつ8人を初入閣させたのは入閣待望組など党内の不満を抑えるためで、岸田外相を留任させて石破さんを入閣させようとしたのは次期総裁候補を閣内に閉じ込める意図からで、二階さんを総務会長から幹事長に横滑りさせたのは総裁任期延長の工作を進めてもらうためでした。全ては「延長チャレンジ内閣」としての隠された目的を実現する布石だったと思われます。

 しかし、このような目論見がすべてうまくいったわけではありません。石破さんには入閣を断られて閣外に逃げられてしまいました。
 もう一つの問題は、任期延長のために起用した二階幹事長が「改憲チャレンジ内閣」という別の目標の足を引っ張る可能性があることです。二階幹事長は、BS日テレの「深層NEWS」に出演して、憲法改正について「急がば回れだ。慌てたら、しくじる」と述べ、「首相の政治的信条は分かるが、強引にやっていくスタイルは受け入れられない」と指摘しました。
 二階さんに対する安倍さんの期待は「延長チャレンジ内閣」としては指導力を発揮してもらいたいけれど、「改憲チャレンジ内閣」としてはあまり力を発揮してもらいたくないというところでしょう。このように、二階さんは改憲暴走へのブレーキ役になる可能性がありますが、しかし、それがどれほど効くかは走りだしてみなければわかりません。

 いずれにしても、これから大変、危険な運転が続くことは明らかです。スピードはますますアップし、ハンドルはさらに右へと回され、制御できずに道路から飛び出してしまうかもしれない乱暴な運転になるでしょう。
 しかも、参院選と都知事選を通じてブレーキの効きはますます悪くなりました。国会で改憲勢力が3分の2を突破し、維新の会の大阪府知事や市長に続いて核武装と改憲を主張していたタカ派都知事が生まれ、この都知事選を利用して在特会の前会長がヘイトスピーチを繰り返し、それと同調するような極右の防衛大臣が登場するなど、日本社会全体が右への傾斜を強めています。
 これにブレーキをかけて事故の発生を防ぐことができるのは野党と市民の共同であり、アベ政治の暴走加速にストップをかけることができるかどうか正念場を迎えています。都知事選の総括や民進党の次期代表選などをめぐって内輪もめを繰り返している余裕はないように思うのですが、いかがでしょうか。

 昨日、小池新都知事は自民党本部を訪れて安倍首相や二階幹事長と会って早々と「手打ち」を行いました。私たちが相手にしているのは、これほどにしたたかな相手なのです。
 それを上回るしたたかさを身に付けなければならないときに、力を合わせて共闘すべき人たちが互いに相手を批判しいがみ合うのは残念でなりません。このような姿を見て、安倍さんや小池さんはニンマリしているにちがいないのですから……。

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