SSブログ

8月9日(火) 野党共闘の成果と安保法廃止に向けた課題(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、全農協労連の機関誌『労農のなかま』7月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップします。〕

 東北での勝利が意味するもの

 このような形で野党共闘は大きな成果を上げましたが、なかでも注目されるのは東北地方の選挙区です。東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の選挙区で野党共闘は自民党に全勝したからです。青森、山形でも野党は勝ち、東北全体で5勝1敗となりました。
 全国の情勢とはほとんど反対になった要因は、東日本大震災と原発事故に対する政府・自民党の対応が選挙民の不信感を高めているからです。東北地方にアベノミクスの恩恵は届かず、震災復興の遅れもあって、仮設住宅で暮らす人々には「自民党には入れたくない」という声が少なくなかったといいます。安倍首相は何度も応援に入りましたが、かえって「自民党の候補が弱いからだ」と思われてしまって逆効果だったそうです。
 今度の選挙では「争点隠し」が徹底されましたが、隠すことができなかった争点もありました。その一つがTPP(環太平洋経済連携協定)の問題です。海外の安い農産物が入ってくるのではないかという農家の不安は大きく、それが野党共闘候補への追い風になりました。
 原発政策や沖縄での基地問題についても、自民党候補者は大きな批判にさらされました。福島と沖縄での現職閣僚の落選は、これらの争点に対する県民の意思を明瞭に示しています。

 安保法(戦争法)廃止に向けての課題

 参院選での与党の勝利によって、安保法(戦争法)廃止に向けた運動の再構築が必要になりました。同時に、改憲勢力が衆参両院で3分の2を超えたことにより、改憲に向けての動きが強まるかもしれません。当面、憲法審査会の再開とそこでの審議を通じて準備工作を進め、緊急事態条項に限って改憲発議を行うのではないかと見られています。
 安倍首相は選挙中、街頭演説で改憲について触れることはありませんでした。このような改憲隠し戦術は与党勝利に貢献しましたが、直ちに改憲に向けて動き出しづらい状況も生み出しています。当面、改憲をめぐる動向を注視し、戦争法の発動による既成事実化を阻み、民進党内の改憲派の動きを抑えて立憲4党の共闘を維持することが必要です。同時に、憲法に対する国民の理解を深めて改憲勢力の狙いと危険性を周知していく活動が重要になっています。
 また、野党共闘を継続し、都知事選挙などの首長選挙、衆院補欠選挙や来るべき解散・総選挙へと引き継いでいかなければなりません。安倍暴走政治をストップさせるために手に入れた最強の武器である野党共闘こそ、日本の政治変革に向けての希望となっています。戦争法を廃止して立憲主義を確立し、個人の尊厳を守ることのできる新しい政府の樹立に向けて、これからも闘いは続きます。


nice!(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

トラックバック 0