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8月12日(金) 「政治を変える」ことと労働組合―参院選の結果をふまえて(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、勤労者通信大学の『団結と連帯③労働組合コース』に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

3、変革の推進力としての労働組合

 労働組合が持つ力と武器

 今日の社会において働く人々の数は圧倒的です。この働く人々が労働組合を結成して恒常的な団結の力を発揮し、賃金・労働条件の改善や権利擁護・拡大を目指して活動するのが労働組合運動にほかなりません。そして、この組織された数の力は政治に対して働きかけるうえでも大きな影響力を発揮することができます。
 企業内や生産現場での要求実現のために大きな武器となるのはストライキです。他方、政治や行政に対して要求を実現するためには選挙で多数を獲得しなければなりません。そのための武器となるのは数の力です。
 労働組合はこのような数の力を発揮して政治を変える力を持っています。同時に、要求で団結する大衆的な組織ですから、組合員の思想・信条の自由を守らなければならず、特定の政党への支持を強制してはなりません。

 野党共闘の推進力として

 今回の参院選では、戦争法を廃止して立憲主義を守り、個人の尊厳を回復するために市民運動も積極的に選挙に関わりました。市民連合を結成して、1人区での野党共闘の推進と統一候補の当選のために大きな役割を果たしています。このような野党共闘の推進力の一つが労働組合でした。
 その典型的な例は鹿児島選挙区での野党共闘と県知事選に対する取り組みに見られます。ここでは、参院選の統一候補として県連合の事務局長が立候補し、県知事選挙での統一候補として県労連の事務局長が立候補予定者になりました。その後、県知事選に無党派の三反園訓さんが立候補の意思を示したために川内原発の一時稼働停止という協定を結んで一本化し、現職を破って三反園さんが当選しています。
 すでにふれたように、全国でも32ある1人区の全てで野党共闘が実現し、11人が当選するという成果を上げました。この共闘の推進力として各県の労働組合も大きな役割を果たしています。政治を変え、働く人々の要求を実現するために、組織された社会的勢力としての数の力を発揮したことになります。

 むすび

 参院選では与党が勝利しました。しかし、3年前の2013年参院選と比べて、自民党は比例代表で1議席増となったものの選挙区では10議席減となり、合計でも9議席の減少となっています。アベノミクスは支持されたわけではなく、安倍首相が口をつぐんでいた改憲についても白紙委任されたわけではありません。
 このような結果になったのは、1人区での野党共闘が成果を上げたからです。今回が最初の試みでしたから、それはまだ初歩的なものですが、今後に生かされるべき大きな教訓を示しています。

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