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12月13日(火) ともにたたかう道へ 気骨の歩み―書評:畑田重夫『わが憲法人生70年』 [論攷]

〔以下の書評は、『しんぶん赤旗』12月11日付、に掲載されたものです。〕

 平和憲法一筋に愚直に生き抜いてきた93年の人生。その熱き想いと行動力、気骨ある生き方が、本書から立ち上ってくる。「地位とか、肩書とか、社会的名誉とかには全く魅力を感じず、人間として自分に満足のゆく『一筋の道』を生きぬき、貫き通した」著者の「憲法人生」から学ぶべきものは多い。
 著者は教員の両親の3男として京都府綾部町に生まれ、波乱の人生を歩んできた。学徒出陣で軍曹として生き残ったのは病弱で陸軍病院に入院していたからだ。「今は亡き学友(戦友)たちの分もふくめて、平和と民主主義と社会進歩に貢献しなくては、との思い」から「友情の使命」を果たすべく、せっかく得た「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民とともに学び、ともにたたかう道を選択」する。そのために定収の道が経たれたが、ここにこそ著者の気骨が示されているのではないだろうか。
 以後、著者は労働者教育や平和運動の先頭に立つことになる。なかでも、その後の「生き方に絶大な影響を及ぼすことになった」のが、東京都知事選への2度の立候補であった。3度目は「ドクターストップ」となったため、首都東京を「非核・平和の都市に」という「夢の一つ」は実現せずに終わった。
 畑田みちるさんと結婚したのは河上肇のすすめで、ジャンケンで負けて藤枝から畑田に姓が変わった。名古屋での送別会には市公会堂開設以来最大規模の3500人も集まったことなど、興味深いエピソードにも満ちている。学者仲間や政治家、運動関係者だけでなく俳優、歌手や作曲家などとの交流も多彩で、著者の幅広い人間性がうかがわれる。
 


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