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12月16日(金) 見えた 勝利の方程式(その1) [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『女性のひろば』No.455、2017年1月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 安倍首相は絶頂期にあるように見えます。彼の心境は藤原道長が詠んだ「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」というところでしょう。与党で衆院の3分の2、参院では自民1党で過半数の議席を有して党内に刃向かう者はおらず一強体制を確立。総裁の任期を延長し、史上最長政権をめざして向かうところ敵なしです。

 満ちれば欠けるのは世の習い

 しかし、月のように満ちれば欠けるのが世の習い。遅からずその陰りは明瞭になっていくでしょう。陰りその1は、経済政策の失敗です。11月1日、日本銀行の黒田東彦総裁は「2%インフレ目標」を任期中に達成できないことを初めて認めました。事実上の異次元金融緩和敗北宣言です。アベノミクスの第1の矢として、2年間で2%の物価上昇目標を達成し、デフレから脱却すると宣言してから3年半。現実には「アベノミクス不況」がいよいよ深刻になっています。
 陰りその2は、全面的な運用段階に入った安保法制です。日本の安全保障環境を改善するとして無理やり強行採決した2015年9月以降、果たして日本の安全は高まったでしょうか。否。北朝鮮の核開発やミサイル発射実験の増加など、以前より悪化しています。
 日本はアメリカの仲間だと宣言したともいえる安保法制。成立直後の昨年10月、バングラデシュで日本人男性が殺害されました(ISの現地支部が犯行声明)。そして今年7月、再びバングラデシュでJICA(国際協力機構)の日本人7人がISに殺害されました。そのうえ、南スーダンPKOで派遣されている自衛隊の任務拡大にともなって、発足以来初めて自衛隊員が「殺し殺される」危険性が高まっています。
 陰りその3は、原発再稼働を強行しようとしている政権に、国民の不安と懸念が強まっていることです。新潟県知事選では「柏崎刈羽原発の再稼働は認めない」という大義の旗を立てた野党統一候補・米山隆一さんが自公推薦候補に圧勝しました。
 新潟県は福島県と隣り合い、原発事故で避難されている方も多い地域です。私も新潟県出身ですからよく分かります。農業県の新潟で事故が起こったらいったいどれほどの被害を蒙ることになるのか。しかも、新潟は中越地震など地震多発地帯です。県民の意志は明確でした。
 陰りその4は、国会承認を強行しようとしているTPP(環太平洋連携協定)です。農業をはじめ食の安全、医療、金融、雇用などあらゆる分野で国民の暮らしを破壊するTPPへの不安と批判が広がっています。今年7月の参院選でTPPは争点の一つでした。秋田を除き東北と甲信越で与党は全敗しています。そして改憲、沖縄米軍基地問題―-。安倍政権が掲げてきた課題が立ちゆかなくなっていく可能性は高い。まさに月が欠け始めているのです。

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