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7月22日(土) 都議選結果が示したもの アベ暴走政治は止められる  [論攷]

〔以下の論攷は、『全国商工新聞』第3273号、2017年7月24日付、に掲載されたものです。〕

 国民無視の政治に審判

 驚天動地の結果でした。都議選で現有57議席を34も減らし23議席という歴史的な惨敗を喫した自民党は、まるで地面が割れて地獄に引きずり込まれるような恐怖を味わったのではないでしょうか。
 風に吹かれて舞い上がったのが小池百合子都知事に率いられた「都民ファーストの会」です。現有6から49議席に躍進し、追加公認を含めて55議席になりました。今回ばかりは自民党に入れたくないという「非自民」の手ごろな「受け皿」となったからでしょう。
 このような自民対「都民ファーストの会」という対決構図の下で「埋没」すると見られていた共産党は、現有17を2議席増やして19議席となりました。前回の8から17への倍増に次ぐ2回連続での議席増は32年ぶりのことになります。安倍首相にきつい一発をお見舞いしたいという「反自民・反アベ」の思いを受け止めたからです。

 都民が下した三つの審判

 今回の都議選で都民は3つの審判を下しました。これらが積み重なったから、これまでにないほどの惨敗になったのです。
 第1は、自民党都連が生み出した都政の闇への審判です。石原・猪瀬・舛添という3代の都知事の忠実な「イエスマン」だった自民党と公明党によって都政は支配され、築地市場の移転問題をはじめとした闇は深まるばかりでした。昨年の都知事選のときから高まった都民の怒りは、今回の都議選でも自民党都連に向かったのです。
 第2は、憲法無視、政治・行政の劣化や退廃という国政への審判です。都議選直前まで開かれていた通常国会では「共謀罪」法案への懸念が大きかったにもかかわらず強行採決で幕を閉じてしまいました。このような強引な国会運営や9条改憲の目論み、政治家の不祥事や暴言などの国政上の問題も都議選での大きな争点になりました。
 第3は、忖度の横行や強権化、政治の私物化という安倍首相の政治手法、嘘やごまかしへの審判です。とりわけ「森友」「加計」学園疑惑は、権力者による仲間や友人の優遇、政治・行政の歪みを明らかにし、その中心にいた安倍首相夫妻への不信と怒りを高めました。これにとどめを刺したのが、秋葉原の街頭演説での「こんな人たち」演説だったのではないでしょうか。

 世論と選挙で潮目が変わった

 都議選が実施される前から安倍内閣の支持率は低下し始めていました。通常国会閉幕後の調査では、『読売新聞』で支持率49%と12ポイント減、『朝日新聞』では41%で6ポイント減になっています。都議選での自民党の歴史的惨敗は、このような世論の動向を投票によって明らかにしたものでした。
 その傾向は、都議選後も変わっていません。『読売新聞』の調査では、内閣支持率が36%で不支持率が52%と半分を超えました。『朝日新聞』でも支持率33%、不支持率は47%になっています。2回連続での大幅な減少でした。
 政治運営にとって重要なのは世論と選挙です。その両方で、安倍政権は歴史的な後退を示しています。長い間、「安倍1強」と言われていましたが、潮目が大きく変わりました。さらに追い詰めて、アベ暴走政治の息の根を止める展望が生まれています。

 9条改憲の阻止に向けて

 このような潮目の変化は、9条改憲阻止の可能性も高めています。秋の通常国会で自民党の改憲案を出して来年の通常国会で発議し、自民党総裁選での3選を経て秋の解散・総選挙と同時に国民投票を実施するというのが、安倍首相の目論みでした。
 しかし、政権の「体力」は急速に衰えており、自民党総裁選での安倍3選すらおぼつかなくなっています。8月早々に内閣を改造して目先を変えようとしていますが、うまくいかないでしょう。批判と疑惑の中心には安倍首相本人がいるのですから。
 改憲発議の必要条件は、衆参両院で改憲勢力が3分の2以上を占めていることです。しかし、来年12月には衆院議員の任期が切れます。安倍首相は解散をできるだけ先に伸ばそうとするでしょう。それを許さず、できるだけ早く解散・総選挙に追い込み、衆院での与党勢力を減らすことが必要です。

 アベ政治に終止符を打つために

 世論調査や都議選の結果は、「非・反自民」「反アベ」の声が急速に高まっていることを示しています。適切な「受け皿」さえあれば、政治的な地殻変動を生みだせることも明らかになりました。「安倍1強」を支えてきたのは、人々の諦めだったのです。変えられるという展望を示せば、人々は立ち上がります。
 ポスト真実とフェイクニュースを打ち破り、事実を伝えなければなりません。「森友」「加計」学園疑惑を解明し、政治の信頼を回復することが必要です。モノ言えぬ社会にしないために、委縮することなくモノを言い続けましょう。
 もし、安倍政権が国民の声を無視し続ければ、さらに大きな「ノー」が突き付けられるにちがいありません。解散・総選挙に追い込んで、その機会を早く実現したいものです。そのためにも、中小業者など市民と野党との共闘を推進し、いつ国会が解散されても勝利できるような準備を進めることが、これからの課題です。

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