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10月10日(火) 「劇場」選挙に惑わされず、市民と立憲野党の力で歴史を変えよう [論攷]

〔以下の論攷は、『全国革新懇ニュース』第393号、2017年10月号、に掲載されたものです。〕

 安倍首相は突然、衆院を解散しました。与党の議席を減らして安倍内閣を打倒する絶好のチャンスが訪れたことになります。このチャンスを有効に生かせるかどうか。政策合意を尊重し憲法9条を守る立憲野党と市民の力の真価が問われています。

 わが身と身内を守るため?

 今回ほど、評判の悪い解散はありません。なぜ今、何のために解散するのか。それが分からない「大義なき解散」だからです。安倍首相は、「国難突破」を掲げて消費増税分の使途を子育てや教育に当てることを打ち出しましたが、消費増税は2年以上も先で議員の任期は1年以上もあります。
 しかも、延長可能だった通常国会を無理やり閉じ、憲法53条に基づく国会開催要求を拒み続けました。ようやく開かれるかに見えた臨時国会でしたが、全く質疑を行わないまま冒頭に解散しました。よほど国会審議が嫌だったようです。
 安倍首相が国会から逃げ回っていたのは、「森友」「加計」学園疑惑で追及されることを恐れたからでしょう。森友学園疑惑では妻の昭恵さんへの忖度が疑われ、加計学園疑惑では「腹心の友」である加計孝太郎理事長と安倍首相の関係が問題になりました。
 国会審議が再開されれば、これらの疑惑が追及されます。これを避けて妻と親友の「身内」を守り窮地を逃れるために、解散を利用したのではないでしょうか。究極の「国政私物化」です。こんな自己都合と保身のための解散を認めるのか、強引で身勝手な政権運営を続ける安倍首相の続投を許すのかが、総選挙での最大の争点になります。

 激変した選挙情勢

 同時に、安倍首相には「今なら勝てる」という計算もあったにちがいありません。民進党が混迷し、前原誠司新代表は共産党との選挙協力を見直すと言っていたからです。今がチャンスだ、不意打ちをかければ成功するとの打算が働いたのではないでしょうか。
 しかし、小池百合子東京都知事が新党「(当選したい人の?)希望の党」を結成して代表に就任し、選挙情勢が激変しました。民進党の前原代表は事実上の解党と希望する候補者の希望の党への合流を認めています。都議選と同様に自民党が歴史的な惨敗を喫する可能性が出てきたわけで、これは安倍首相にとって大きな誤算でしょう。
 「希望の党」の小池代表には都知事との兼任や豊洲市場移転問題での公約破りへの批判も寄せられています。結党時のメンバーは安保法制に賛成する改憲・右派人脈の「吹き溜まり」で「第2自民党」になる危険性があります。
 「新党ブーム」の突風が吹き荒れ、与党のみならず野党も翻弄される形になりました。「劇場」型選挙の一時的な「風」に流されることなく、政策を見極めた正しい判断と対応が求められます。

 歴史はつくるもの

 新党効果で選挙への注目度が高まり、投票率は上がるでしょう。投票率の低さに助けられてきた自公両党を蹴散らし、安倍首相の退陣を実現するチャンスが生まれました。そのためには9条改憲に反対する共産党などの立憲野党と市民とが力を合わせなければなりません。
 安倍内閣打倒を実現できる歴史的な選挙になるでしょう。そして歴史は「見ている」ものではなく「つくるもの」です。いま問われるべきは、どうなるかではなく、どうするかです。改憲勢力3分の2体制を打破して戦争への道を阻むために、革新懇の総力を挙げて政治を変え、新たな歴史をつくっていこうではありませんか。(9月28日脱稿)

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