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9月5日(水) 秋の臨時国会 たたかいの展望(その1) [論攷]

 〔以下のインタビュー記事は、全商連発行の『全国商工新聞』第3326号、2018年9月3日号、に掲載されたものです。2回に分けてアップします。〕

 改憲できぬ世論づくりを
 〝選挙イヤー〟共闘に活路

 ―通常国会を振り返って、どんな国会でしたか。

 ひとことで言えば、最低の首相による最悪の国会でした。
 森友・加計学園疑惑では、中心に首相夫妻が座っていたことが明らかになりました。これまで数々の政治スキャンダルがあり、「総理の犯罪」と言われたロッキード事件などもありましたが、総理大臣の妻が疑惑を受けることはかつてなかったことです。
 首相夫人付きの秘書など、さまざまな形で関与できるような仕組みをつくって政治・行政を大きくゆがめ、私物化してしまった。権力を私的に流用することは断じて許されません。
 通常国会では隠ぺい、公文書改ざん、虚偽答弁など、でたらめな国会運営がなされ、それが国民の知るところとなりました。
 安倍首相は丁寧に説明すると言いながらきちんと説明せず、一部の官僚に責任を押し付けて首相や麻生副総理、加藤厚労相はお咎めなしです。昭恵氏は国会に出てこないばかりか記者会見も開かず、疑惑を晴らそうとする誠実さを見せなかった。疑惑の中心にいた人たちは逃げおおせたかもしれないけれど、それによって最も大切な政治への信頼が〝道連れ〟にされてしまいました。

 ―国民の声を無視して悪法を強引に成立させた国会でもありました。

 二面性があると思います。一面では、常識が通用しない国会運営がなされ、議会制民主主義の土台にひびが入り、政治不信を高めました。
 「働き方改革」法では労働基準法の労働時間規制から一部の労働者を外す、いわゆる高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)を導入した。カジノ法ではギャンブル依存症が心配されるということで、予防のための法律を作り、賭博を合法化した。さらに6増の公選法「改正」は自民党の〝自己都合〟でむりやり口をこじ開けて〝毒〟を呑ませてしまった。
 このように悪法が次々と成立した国会ではありましたが、他面では、森友・加計学園疑惑や自衛隊の日報問題などで野党の追及が大きな力を発揮した。このために安倍政権は防戦に追われ、当初考えていたような国会運営はできなかった。「働き方改革国会」と言っていましたが、裁量労働についてのデータ不備、改ざん、ねつ造が問題になり、通常国会で最大の目標だった裁量労働制の拡大はできませんでした。
 もう一つの目標は改憲発議です。やはり防戦に追いまくられ、そこまで手が回らず発議できませんでした。
 立憲野党といわれる政党が市民と一緒になって国会共闘を繰り広げ、合同ヒアリングなどの形を工夫し、〝多勢に無勢〟という不利を突破するために一定の効果をあげました。
 国会の外でも市民と野党の共闘が広がり、官邸前や国会正門前集会を開いて世論に訴え、大きな力を発揮しました。選挙共闘が国会共闘にまで質的に高まり、しかも野党が20本の法案を共同提案し、政策的な合意の幅が拡大したことも大きな成果です。

 ―臨時国会に向けて、たたかいの展望は。

 まずは、自民党の総裁選挙です。安倍総裁3選の可能性は高いですが、党員票でどれだけの批判票が出るかは、その後の〝政権の体力〟に関わるという点で重要です。たとえ3選されても、国民の厳しい声が反映されるという形にしなければなりません。
 次に臨時国会ですが、安倍首相は改憲発議のチャンスを虎視眈々と狙っています。一番危ないのは、憲法審査会の審議や野党との合意を吹っ飛ばして衆参両院で直接、改憲発議することです。そういう〝奇策〟に出るのではないか、という声も聞こえています。
 臨時国会を逃すと、天皇代替わりや来年10月からの消費税増税問題もあり、政治日程が立て込んでいるので難しくなります。安倍首相は〝最後のチャンス〟と考え、腹をくくって挑んでくるでしょう。阻止する側も腹を固めて迎え撃つ。改憲できないような世論をつくっていく。3000万人署名を9月末までに達成し、目に見えるような形で世論を示していくことが重要です。


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