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10月5日(金) 「打倒 安倍政権」にむけた労働組合運動の役割(その3) [論攷]

 〔以下の論攷は、「2018年・勤労者通信大学・通信」の『団結と連帯』3、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

 労働組合運動はどのような役割を果たすべきか

 このようななかで、労働組合運動の対応も問われることになります。労働組合運動には、市民と野党との共闘の重要な構成員としての課題や役割と、労働組合としての固有の運動の課題や役割があります。
 安倍政権打倒に向けて、特に大きく期待されるのは前者です。労働組合は組織された社会運動体として大きな力を持っており、古くから活動してきた社会運動における「敷布団」としての貴重なネットワークや豊富な経験があるからです。
 その第1は、安倍9条改憲阻止に向けての取り組みです。3000万人署名は引き続き9月末まで続けられます。この署名運動は通常国会での改憲発議阻止の大きな力になりました。引き続き、憲法共同センターなどに結集して署名運動に取り組む必要があります。
 組合内での討論や署名への取り組みは重要ですが、すでに組合員の多くは署名している場合が少なくありません。これからは9条の会や革新懇などとも協力し、地域に打って出ることが重要です。宣伝活動や署名集めでも、労働組合としての組織力は大きな力となるにちがいありません。
 第2は、安倍政権を追い込み、悪法の発動を阻んで内閣支持率を低下させるための取り組みです。国際情勢の激変によって、安全保障関連の施策の存立根拠や正当性は失われつつあります。特定秘密保護法や安保法制(戦争法)などの廃止を求め、沖縄・辺野古での新基地建設や横田へのオスプレイ配備、秋田と山口で予定されている陸上イージスの設置、基地強化と防衛装備の拡充など安倍政権の歴史逆行の愚策に反対し、その無益と危険性を明らかにしなければなりません。
 緊急に取り組むべき課題は、通常国会で成立したカジノ法案を「立ち枯れ」にすることです。国内3カ所でIR(統合型リゾート)が設置されますが、具体的な場所は決まっていません。候補地での反対運動によって阻止できれば、安倍政権の「命取り」になる可能性もあります。
 第3は、来年の統一地方選挙や参院選に向けての準備です。特定政党支持の押し付けに反対して組合員の政党支持の自由を守ると同時に、政策の一致する候補者や政党を支援する活動に取り組まなければなりません。とりわけ、統一地方選挙の首長選での共闘実現と統一候補の擁立のために力を尽くすことが必要です。
 議員選挙では来年の参院選での野党共闘の実現を、今から準備しなければなりません。参院選で与野党逆転を実現して衆参の「ネジレ」状態を生み出せば、安倍政権を打倒できます。そのためには、32の1人区はもとより可能な選挙区での野党共闘を実現することが必要です。それぞれの選挙区で野党間の相互支援による統一候補の擁立を仲立ちし、労働組合としてのイニシアチブを発揮しなければなりません。

 むすび

 安倍政権打倒に向けてのこれらの取り組みは、賃金・労働条件の改善という労働組合固有の課題・役割である18年秋闘や19年春闘と並行して実施されることになります。両者の結合によって相乗効果を生み出すことが大切です。
 また、この間の「働き方改革」関連法案の国会審議を通じて、過労死・過労自殺をなくすための取り組みの重要性が明らかになり、世論の支持が得られるようになってきました。不十分とはいえ、労働基準法の36条に罰則付きの制限が導入されたことには大きな意味があります。その趣旨を生かして、労働基本権の実現や国際労働基準の具体化を職場レベルから進めていかなければなりません。
 労働組合は労働者の生活と権利、働く環境を守るだけでなく、働く人々の生命を守る役割を果たすことが必要です。日本人の労働環境はそれだけ悪化し、達成すべき課題もそれだけ切実なものになってきています。
 そのためには、何としても安倍政権を打倒しなければなりません。この点でも、労働組合運動はその真価を問われているということになるでしょう。
(2018年9月3日記)

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