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1月28日(月) 戦前の「ポスト真実の日本」を取り戻してしまった安倍首相 [首相]

 毎月勤労統計の不正調査、誤魔化しが発覚し、大きな批判を招いています。しかし、これは「氷山の一角」にすぎません。
 安倍政権では、事実の軽視、情報の秘匿、ウソと誤魔化しが横行しているからです。とりわけ安倍首相の場合、「隠す、誤魔化す、嘘をつく」と三拍子そろった「騙しのテクニック」が多用されていることに注意しなければなりません。

 沖縄での県民投票でも、このような「騙しのテクニック」が用いられようとしています。県民投票での選択が「賛成」「反対」の2択から、「どちらでもない」を加えた3択に変えられたからです。
 この変更によって協力を拒んでいた5市が参加することになり、全県での実施が決まりました。それは良かったと思いますし、3択にしたのは全県での投票実施を実現するためのやむを得ざる譲歩だったと思います。
 しかし、新たに加わった「どちらでもない」という選択肢が多数になった場合、県知事は辺野古での基地建設に反対できなくなるかもしれません。「反対」の意見が多数になった時にだけ、デニー知事はこれまでと同様に新基地建設阻止の行動をとり続けることができるからです。

 つまり、新たな選択肢は3つではありません。「賛成」と「どちらでもない」は新基地の建設に反対ではなく、現状を維持または容認するという点で同じだからです。
 ここには選択肢が2つではなく3つであるように見せかけ、反対意見を少数にするためのカラクリが仕込まれているのです。見事な誤魔化しではありませんか。
 投票に当たっては、このようなカラクリや誤魔化しを県民の皆さんにきちんと説明しなければなりません。実際には3択ではなく2択であるということ、「どちらでもない」は第3の選択肢のように見えるけれど事実上は土砂投入の現実を容認し、基地建設への「反対」を止めさせる意味を持っているということを。

 このような安倍政権によるウソと誤魔化し、事実の軽視、情報の秘匿は、第2次政権が発足して以来、ずっと続いてきました。その最初の例は特定秘密保護法だったのではないでしょうか。
 国民の共有財産である特定の情報を、法律によって堂々と隠すことができるようにしてしまいました。「隠す」ということで言えば、イラクや南スーダンへの自衛隊派遣に関わる日報隠蔽問題が典型です。
 ウソをつくのも平気で、最高裁の判決を歪曲して集団的自衛権の一部容認を閣議決定し、そのまま安全保障関連法として成立させてしまいました。憲法についても、自衛隊の存在を書き込むだけで自衛隊の役割や機能は何も変わらないとウソをついています。辺野古の埋め立て予定地への土砂投入についてのサンゴ移植発言もウソでした。
 
 安倍政権には、事実を尊重し情報を公開して国民の判断を仰ごうとする態度も、国会での質疑に真摯に対応し丁寧に説明して与野党の合意を図ろうとする姿勢も全く見られません。虚偽をまき散らすトランプ流の「フェイク病」に感染し、「ポスト真実の時代」に特有なねつ造と誤魔化しに終始しています。
 森友学園疑惑では公文書の隠ぺいと改ざん、加計学園問題では情報の秘匿と誤魔化し、裁量労働制に関するデータの捏造、障害者雇用率での数字の誤魔化し、外国人技能実習生からの聞き取り調査のずさんさ、そして今回の毎月勤労統計での調査捏造、おまけに外部有識者による課長・局長級職員への聞き取り調査に定塚由美子官房長が同席して質問もしていたことが隠蔽されていました。基幹統計についても56のうち22で問題があったと報告されています。
 このような問題が次々に明らかになってきたのに、政治家は誰一人として責任を取っていません。処分されたのは「トカゲの尻尾」である官僚だけです。

 統計法は嘘とデタラメの数字や情報によって国民の目を欺いた戦前の間違いを深く反省するところから制定されました。政治的な決定や政策の立案は、厳格な事実と正確な情報に基づかなければ取り返しのつかない過ちを犯してしまうからです。
 そのことを私たちは、戦前・戦中の歴史を通じて痛いほど体験したはずです。それが再び、安倍政権によって繰り返されてきました。
 「日本を取り戻す」と言っていた安倍首相は、「ポスト真実の時代」の原型ともいうべき戦前の日本を取り戻してしまったようです。事実を隠し国民を騙して大きな過ちを犯し、滅亡の淵にまで国を導いてしまった「戦前の日本」を。

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