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10月8日(木) 学術会議人事介入の狙いは大学と学術研究を権力のしもべに変え戦争に協力させることにある [教育]

 「今回の個別の人事案件とは別に、政策決定におけるアカデミアの役割という切り口から議論していく必要性がある」
 自民党の下村博文政調会長は6日午前に党本部で開かれた会議のあいさつで学術会議をめぐる問題についてこう述べ、「政治と学術の関係について前向きなものを打ち出したい」と語りました。昨日の記者会見でも下村政調会長は「日本学術会議」のあり方を検討するプロジェクトチーム(PT)を新設する方針を表明し、次のように述べてきます。
 「学術会議としての活動が見えない。いろいろな課題があるのではないか」「果たすべき役割が果たされているのかを議論をしていく必要がある」

 今回の人事介入の目的はここにあったのです。政府の言うことを聞かない学術会議をぶっ壊すこと、少なくとも変質させることによって大学と学術研究を権力のしもべに変え、戦争と軍事に協力させようとしているのです。
 そのために、秘かに人事介入を準備し、知られないようにしながら安倍政権の下で実行してきました。それが、今回、明るみに出てしまったわけです。
 それを逆手にとって、いよいよ牙を剥いて学術会議に襲いかかろうというのが、自民党プロジェクトチーム新設の意味なのです。下村さんは、その狙いをはっきりと口にしました。

 その狙いは安倍前首相が進めてきた教育改革や大学改革と共通しています。安倍教育改革の目的は、道徳の教科化と愛国心教育の強化によって、権力に従順で自ら進んで「お国ため」に戦う人材を育成することにありました。学術会議への介入は、その大学版です。
 権力に手向かわず、戦争に反対せず、軍事研究に協力する大学と学術に変質させることを目的にしています。大学法人化や管理運営体制への民間人登用、教授会自治の切り崩し、補助金の削減と科学研究費の配分などを通じて、これまでも大学の自治と学問の自由は侵され、軍事研究への協力を強いられてきました。
 学術会議が目の敵にされるのは、このような大学改革や学術研究への介入に対する防波堤となって軍事研究に反対し、大学の自治と学問の自由を守ろうとしてきたからです。いよいよ自民党はこの学術会議に挑戦状をたたきつけ、87万人の学者・研究者を敵に回すことを宣言したことになります。

 学術会議を変質させて言うことを聞かせようとする手段も、安倍首相に指示され菅官房長官が実行してきたものと同じです。人事に関与したり介入したりすることで恫喝し、忖度させたり言うことを聞かせたりしようというのです。
 内閣人事局の新設によって官僚全体を統制下におき、それまで認められないとされてきた集団的自衛権の一部容認を実現するために内閣法制局長官を交代させ、アベノミクスに協力させるために都合の良い人物を日銀総裁に据え、NHKを支配するために会長や経営委員にお友だちを送り込み、気に入らないテレビ報道番組のキャスターなどを交代させ、「官邸の守護神」を守るために検察庁の人事や定年制度さえ歪めようとしてきました。学術会議への人事介入も陰で秘かに実施されていたもので、今回が初めてではなかったのです。
 特定の政治目的を達成するために人事に介入するという安倍政権による常套手段が繰り返され、それが明るみに出たというのが今回の事件です。安倍政治の「闇」が、それを担ってきた人物が首相になった途端にばれてしまったというのも歴史の皮肉でしょうか。

 いわば二つの「闇」の流れが交錯するところに、今回の事件が露わになったと言うべきでしょう。一つは教育の国家統制をめざす安倍教育改革の一環として進められてきた大学の自治と学問の自由の侵害という流れ、もう一つは特定の政治目的を実現するための人事介入による官邸支配の強化という流れです。
 このいずれも「安倍政治」の「闇」であり、これを継承するところに安倍なき安倍政治たる菅後継政権の本質があります。日本の教育と大学・学術の自治と自由、民主主義と平和を守るために、菅政権を打倒することは急務になっています。

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