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10月26日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「菅政権の学術会議“蹂躙” 歴史に残る卑劣な手口」

 井上はそう説明したそうだ。ガキの使いじゃあるまいし、だったら、何のために梶田会長と対峙しているのか。会長も「ならば任命権者を出せ」と迫るべきだが、この政権に誠実な対応を期待するだけムダだと諦めてしまったのか。それだけ、菅政権の態度は不誠実極まりない。理由も示さず、法の趣旨に反する形で任命を勝手に拒んでおきながら、悪びれる様子は皆無だ。

 それどころか、予算を“人質”に取り、横紙破りの任命拒否の問題を、学術会議の「在り方」の問題にすり替える。政権に盾突く学者の意見を排除し、その正当化に血道を上げているから、タチが悪い。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「自民党本部で約2時間半も元会長3人を吊るし上げ、行革の対象にして“兵糧攻め”を仕掛ける。学術会議への見せしめは『逆らえば痛い目に遭うぞ』と言わんばかりで、公開処刑さながら。公開処刑には観衆がつきものですが、叩けば叩くほど特定のシンパは歓喜すると思い上がっているフシすら感じます」

 菅政権はとうとう、学術会議の事務局体制を見直し、配置している官僚を大幅に削減する検討に入った。年間予算の大半を占める4億円超の人件費縮減を図るというから容赦ない。脅しに屈するまで蹂躙を続けるとは、チンピラ政権の強権性をまざまざと思い知らされる。

 彼らにすれば、学術会議は平和憲法と同様、戦前回帰の足枷。意見に〈「軍事目的の科学研究は絶対に行わない」との声明を何度も出してきました〉とある通り、先の戦時下における学者の戦争協力の反省の上に立つ学術会議は目障りな存在で、潰されて当然という乱暴な発想である。

 「15年に『放送法遵守を求める視聴者の会』が産経、読売両紙に出した意見広告を想起させます。TBS系『NEWS23』のアンカーだった岸井成格氏が安保法制について『メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ』と発言したのを個人攻撃。安倍政権への援護射撃の結果、政権に批判的なコメンテーターが次々降板する事態を招いた遠因とも言われています。メディアに続き、学問の世界まで不当な攻撃に屈すれば、時の政権とそのシンパに成功体験を与え、ますます図に乗らせることになります」(五十嵐仁氏=前出)

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