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12月12日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「安倍招致も捜査後? すべてが尻切れトンボに国民の怒り」

 医療費負担2倍増の実施時期は2022年夏の参院選後の同年10月以降という公明党の望みを自民も受け入れる方針。つくづく、選挙のことしか考えない連中だが、ちょうど、この年から75歳以上になり始める「団塊世代」を狙い撃ちだ。

 既に75歳以上で現役並みの所得(年収383万円以上)がある人は、現役世代と同じく医療費の3割を負担している。倍増対象者の約370万人が加われば、75歳以上の実に30%が2割以上の負担の網にからめ捕られることになる。

 昨年、厚労省が実施した国民生活基礎調査によると、世帯主が75歳以上の平均可処分所得は年間290万3000円。世帯人員1人当たりにならすと、年間149万7000円に過ぎない。なけなしの年金にも税を課され、月々10万円ちょっとで暮らす人々の実態を、菅政権も大マスコミも理解しているのか。

 「大体、この新型コロナウイルスの感染拡大期に、高齢者の医療費負担を議論すること自体、正気ではありません。高齢者ほど重症化リスクが高く、菅政権も『外出自粛』を呼びかけているのに、『医療費をもっと払え』とは恐るべき二枚舌です。新規感染者も重症者も死者も連日のように過去最多を更新する中、メディアの『医療費引き上げ』のアナウンス効果で、高齢者が受診を控えて健康を害したら、どうするつもりなのか。それでいて『負担2倍増』と報じないのですから、メディアは負担増を小さく見せかけたい菅政権におもねっているように見えます」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 ロッキード事件を例に出すまでもなく、捜査中でも国会での「説明」を求めるのは当然だ。「戦後最大の汚職事件」から半世紀近く。若い世代のために記しておけば、当時は事件の重要関係者が次々と偽証に問われる証人喚問に招致され、その都度、全国にテレビ中継されたものだ。

 政商で知られた国際興業の小佐野賢治氏から、今や常套句の「記憶にございません」が飛び出したのも喚問の場。当時の三木首相がライバルの田中角栄元首相に一泡吹かせたいとの思惑があったとはいえ、「捜査中」を理由に国会に出てこないなんて道理は通らないのだ。

 大マスコミだって安倍にだまされた当事者。連日「安倍は招致に応じろ」と書き立てても、おかしくない立場なのに、そんな怒りはみじんも感じられない。腑抜けだ。
「桜疑惑は“総理の犯罪”です」と、前出の五十嵐仁氏はこう言った。

 「最も法の模範を示すべき総理の事務所が法を犯した疑いは濃厚です。安倍氏本人が裁かれなくても、政治責任は消えません。招致逃れは許されないと、なぜメディアはキャンペーンを張らないのか。東京高検検事長だった黒川弘務氏の賭けマージャンも同様です。法律を順守すべき立場の人が、賭けレートが高額とは言えないなどと口頭注意にとどまり、刑事罰にも問われない。国民感情を逆なでする話なのに、メディアは『テンピンはセーフ』などと訳知り顔で済ませてしまう。黒川氏と雀卓を囲んだメディアにすれば桜疑惑は汚名返上の好機なのに、『秘書の略式起訴』などと検察情報をタレ流すのみ。マージャン仲間の体質は何も変わっていないとしか思えません」

 桜疑惑で立件される見通しの秘書は政治資金規正法違反に問われる。容疑は約4000万円の不記載で、その額から「悪質性が高いと判断された」と大マスコミはしたり顔。だったら少額なら同じ容疑でも許されるのか。検察だって官僚機構のはしくれ。妙な政治家の「起訴基準」は政界とのあつれきを避けたいだけだろう。そこを追及するメディアも皆無だ。


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