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1月24日(日) 2009年に類似している今年こそ同様の政権交代を実現しよう [選挙]

 今年は、麻生内閣末期から総選挙で与野党の政権が交代した2009年によく似ています。政治日程や政治状況が似通っているからです。
 政治過程も同じように推移し、総選挙での政権交代という同様の結果になるかが注目されます。そのような類似した日程と状況こそが大いなるチャンスの存在を示唆しているのはないでしょうか。

 まず、政治日程の類似です。2009年には9月に衆院議員の任期満了が予定されており、その2か月前の7月に都議選が実施されることになっていました。今年も、10月には衆院議員の任期が切れ、その3か月前の7月に都議選が予定されています。
 次に政治状況です。09年の場合、定額給付金をめぐる麻生首相の発言の混乱、酔っぱらったようなろれつの回らない記者会見を行った中川昭一財務相の辞任、日本郵政の社長人事をめぐっての鳩山邦夫総務相の更迭などの失態が相次ぎ、麻生内閣支持率が急落したため解散・総選挙のチャンスを失い、任期満了直前の8月に解散せざるをえない状況に追い込まれました。
 同様に、今の菅内閣も国会答弁などでの菅首相自身の発言や読み間違えなどで混乱が生じ、コロナ対策の失敗や「政治とカネ」の問題などで内閣支持率が急落しています。このままでは任期満了前に解散・総選挙のチャンスを失い、任期満了直前の9月になってから惨敗覚悟の「自滅解散」に追い込まれるのではないかと観測されています。

 麻生政権下で実施された09年7月の都議選は、衆院議員の任期満了直前でもあったため、その前哨戦として国政選挙並みの注目を集めました。その結果は衝撃的なもので、その後の総選挙に大きな影響を及ぼしています。
 石原慎太郎都知事の与党だった自民党は48議席から38議席に後退し、公明党は22議席から全員当選で1議席増やし23議席、合計61議席となりました。他方、野党は民主党が34議席から54議席に躍進して初の都議会第1党となり、共産党は13議席から5減の8議席、生活者ネットは4議席から半減の2議席、無所属が2議席で、非自公が66議席と過半数を上回ったのです。
 現在の都議会は、前回大躍進した都民ファーストが49議席で第1党、次いで自民党が26議席、公明党が23議席となっており、これに対して共産党が18議席、立憲民主党が5議席、東京みらいが3議席、無所属3議席という構成です。都議会自民党と小池百合子都知事の関係は微妙ですが、いずれにせよ前回のような小池知事の「神通力」は失われ、都民ファーストも前回のような「追い風」は望めず、自民党は前回失った失地を回復できる見通しはなく、公明党も高齢化によって守りの選挙を強いられるという状況で、共産党と立憲民主党などの立憲野党にとっては議席増の大きなチャンスが生まれています。

 しかも、今回は1人区や2人区でも、条件のあるところでは市民と野党の共闘による選挙協力が取り組まれようとしています。これが成功すれば、09年都議選以上のドラスティックでドラマティックな成果を生み出すことができるにちがいありません。
 もし、解散・総選挙が都議選の後になれば、その経験と結果は総選挙にも巨大な影響を及ぼすことになるでしょう。ちなみに、09年の場合はどうだったのでしょうか。
 その衝撃的な結果をもう一度振り返ってみることにしましょう。そこから教訓を汲み取ることによって、政権交代を実現するための強力な「武器」が得られるでしょうから

 第45回衆院総選挙は、2009年8月18日に公示され、8月30日に投開票されました。この時の定数は小選挙区300、比例区180の計480議席で、結果は自民党が公示前の300議席から119議席へと惨敗して初めて第1党の座を失い、公明党も31から21議席へと10減となって自公両党で140議席にとどまり、過半数の241議席を大きく下回りました。
 他方の野党は、民主党が115議席から2倍以上の308議席の第1党となり、地滑り的な勝利を収めて大躍進しました。共産党は9議席、社民党は7議席と公示前勢力を維持し、みんなの党は4議席から5議席に、国民新党は4議席から3議席、新党日本が1議席、新党大地も1議席となっています。
 投票率は小選挙区で69.28%、比例区で69.27%と、ともに小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降では最高となりました。約7割にまで投票率が上がれば政治は変わるという典型的な事例になったと言えます。

 このときの民主党の勝利は、異例づくめの歴史的なものでした。獲得した308という議席数は、86年衆参同日選挙で自民党が獲得した300議席を上回って戦後最多となり、議席占有率でも64.2%で過去最多となっています。
 小選挙区での当選も221議席と過去最多となり、北海道、首都圏、東海、近畿で圧勝し、とりわけ1都3県の首都圏では対自民で前回の5勝63敗から58勝6敗と大逆転しました。また、岩手・福島・新潟・愛知など8県で議席を独占しています。
 比例区でも、前回の61議席から過去最多の87議席となりました。得票数も小選挙区で3347万票、比例区で2984万票と、いずれも3000万票前後で過去最多を記録しています。

 このような歴史的な大躍進を生んだ客観的な要因は、当時の麻生内閣と自民党の失政に対する国民の失望と批判の増大にありました。しかし、それだけでなく、野党の側の主体的な要因も大きかったと思われます。
 それは、民主・社民・国民新・新党日本の4党による選挙協力が積極的に取り組まれたからです。300小選挙区のうち276選挙区で候補者調整が行われ、野党は212勝64敗となりました。
 この選挙協力に共産党は加わっていませんが、実は「隠れた選挙協力」によってこのような結果に大きく貢献していました。というのは、ほぼすべての小選挙区に候補者を擁立するというそれまでの方針を改め、148選挙区で候補者を擁立せず、結果的に民主党をアシストしたからです。

 以上の2009年の経験は、数多くの教訓を示しています。政治日程と政治状況の類似性によって同様の結果が生み出される可能性があること、小選挙区制は一挙に当選者を入れ替える恐ろしい選挙制度であること、政権の失政と政権党に対する失望や批判は選挙結果を大きく左右する客観的条件であること、選挙協力と候補者調整は歴史的圧勝を生み出す主体的な条件であること、政権選択を迫って明確な「受け皿」を示せば投票率が上がり思いもよらぬ結果をもたらすことなどです。
 現在の菅首相の無能さは09年当時の麻生首相に「劣るとも勝らない」ものであり、コロナ対策の失敗によって失望と怨嗟の声は全国に満ち満ちています。内閣支持率はかつてないスピードで低下し続けており、オリンピック・パラリンピックの開催も危ぶまれ、桜の花が咲く前に菅首相は散ってしまうのではないかと言われるほどです。
 しかも、野党の側での選挙協力は2016年以来の実績を積み重ねてきており、共産党が加わっていること、市民をも巻き込んで草の根から発展してきていること、政策合意を前提に政権担当を展望する方向が示されていることなどの点で、09年総選挙以上に質的に発展し強力なものとなっています。09年以上に、政権交代に向けての客観的主体的な条件は整っていると言えるでしょう。

 政治的な地殻変動は、すでに始まっているのです。それを具体化して歴史を転換し、「日本を変える」ことが必要です。2009年の経験と教訓に学び、政権交代に向けての現実的な条件をきちんと見すえなければなりません。そうすれば「新しい政治」への展望を切り開くことができるにちがいないのですから。


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