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3月9日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「偽善と冷血の政治露わ この惨状で「復興五輪」と騒ぐのか」

 聖火リレーのコースは整備されても、今なお帰還困難区域は残り、住民は戻れない。「人類がコロナに打ち勝った証し」だか「復興五輪」だか知らないが、被災地ははしゃいでいられる状況ではないのだ。 

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「菅首相がこのタイミングで福島を視察したのは、今夏の五輪開催を意識して3・11前の最後の週末に復興をアピールし、25日に福島県から始まる聖火リレーにつなげる狙いでしょう。安倍前首相も総選挙の演説を被災地でスタートさせるなど、復興の“やってる感”を演出して政権運営に利用してきましたが、そこは菅首相もしっかり踏襲している。もっとも、政府は今後の復興政策について『柔軟に、個別に対応できるよう弾力的にやっていく』と言い出していて、震災後10年の節目を機に一律の支援を打ち切りたい思惑も透けて見える。菅首相の好きな“自助”が、被災地にも押し付けられることになりかねません」

 先端技術の福島イノベーション構想は、その一環だ。ハコとテーマを与えたから、あとは地域で新しい産業を立ち上げ、自立して経済を回せという上から目線。政府主催の東日本大震災の追悼式も今年を最後に打ち切られる。10年で一定の震災復興を果たしたとして、“区切り”をつけるのだという。

 こういうところに、政府の偽善と冷血が浮き彫りになる。見捨てられたと感じる被災者もいるだろう。それは菅政権のコロナ対策にも通底している。自助で国民生活が成り立つのなら、政治家はいらない。

 利権屋だけが喜ぶ「復興五輪」なんて、多くの国民は求めていないはずだ。

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