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6月24日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月24 日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「連日ウソばかり 橋本聖子会長が自己崩壊しない摩訶不思議」

 21日の会見で専門家の提言との整合性を問われた組織委の橋本聖子会長は、「中止は提言になかった」と都合よく解釈。「観客を入れた時のことも想定した提言をいただいた」「組織委員会の感染対策については大変高い評価を尾身会長からいただいた」などと言って、「有観客で上限1万人」の開催を正当化してみせた。

 「政府も組織委も最初から有観客開催の結論ありきで、専門家の知見も無視して突っ走ろうとしている。コロナ禍で五輪を開催することに対する国民の不安は大きいのに、開催の是非をスッ飛ばして、いつの間にか観客数の上限が論点にされていたのです。そのうえ大会関係者は観客ではないから別枠、子どもたちに観戦機会を提供する学校連携観戦チケットも別枠などと、なし崩しで観客数を増やそうとしている。IOCにおもねると同時に、秋の解散総選挙に向けた政治的思惑から、盛り上がりを演出するためにどうしても観客を入れて開催したいのでしょうが、人が移動したり集まったりすれば感染拡大リスクが高まることは周知の事実です。リーダーには冷静で科学的な判断が求められるのに、現実から目をそらし、行き当たりばったりで大会成功を夢想しているだけとしか思えません」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 過去7回の五輪出場を誇る橋本だからこそ、応援の「大声禁止」がいかに荒唐無稽で無理難題かということを誰より分かっているはずだ。カネのことしか頭にないIOCのバッハ会長や五輪を選挙戦略に利用する菅のために、アホらしい五輪プレーブックも作って、嘘をつき続けるストレスによく耐えられるものだ。アスリートファーストに立っていたら自我が崩壊するのではないかと心配になってしまう。

 「橋本会長はもはやアスリートではなく政治家なのです。森元首相のお気に入りで、本人も組織委会長就任にあたって政治的中立性を担保するために自民党こそ離党しましたが、国会議員を辞めることはかたくなに拒否した。丸川五輪相もそうですが、レールに乗って自分より上の人間の意向に従うだけ。思考停止に陥っていて、操り人形のようです。五輪強行でコロナ感染拡大のリスクがあることも分かっていながら、中止を進言する勇気もない。破滅に突き進んだ先の大戦とそっくりの展開になってきました。橋本氏と丸川氏の無表情を見ているだけで、この五輪の異様さが分かります」(五十嵐仁氏=前出)

 今般の五輪でメダルを獲得した選手が、いずれは橋本のようになるのかと想像すると、ますます純粋に応援できなくなる。

 選手より、国民の安全より、カネと名誉と政権延命。そのヨコシマな思惑を覆い隠すために「スポーツの力」や「絆」という情緒的な言葉がことさらに強調されるのだ。その欺瞞に気づいた国民は、1カ月後の開会式を暗澹たる気持ちで迎えることになる。

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