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8月16日(月) 前進する市民と野党の共闘、待たれる野党連合政権(その3) [論攷]

〔以下の講演記録は川崎区革新懇の『第18回総会記録集 2021年6月12日』に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

3、革新懇の先見性、役割と課題

あって良かった革新懇
 5月に全国革新懇の総会がありまして、創立40周年記念のイベントが開かれました。このとき「あってよかった革新懇」という思いを新たにしました。40年も前にこのような組織を作ったんだから、たいしたものだなと思いましたね。
 できたころは、革新統一を再建して連立政権を樹立し、さらには民主連合政府に結び付けていくんだという目標があったわけですけど、それは一種の「夢物語」ですよ。しかし今やもう、夢じゃない。「古い政治」と「新しい政治」がぶつかり合う激突の時代を迎え、進歩と逆流、希望と絶望がしのぎを削る状況が生まれた。そういう中で、革新懇は新しい希望を示す非常に重要な主体になっている。政治の総体が問われる中で、全体を取り換えることが我々のめざす課題となりました。
 3つの目標を掲げ「一点共闘」を進める中で。個人と団体がそれぞれの役割を果たす。そして、「共産党を除く」という壁を打ち砕いていく。これを今までやってきた。40年間やってきた実績の積み重ねです。その結果として、市民と野党の共闘で私たちの政府を作ろうということが、具体的な現実的目標としてリアリティをもって語られるようになっている。いよいよ、こういう状況になってきた。
 コロナウイルス感染拡大の中で、革新懇に参加する賛同団体の役割が非常に大きくなってきています。とりわけ医療関係。全労連に結集している組合の中では医労連だとか福祉保育労とか、こういうところで働いている人の組合が多い。革新懇に加わっている民医連だとかもあります。
 そのほかの賛同団体では、最近会員を増やしているのが民商ですね。地域によってばらつきはありますが、持続化給付金の申請など業者さんは大変な状況で、こういう人を支えるために「民商」の果たす役割が非常に大きくなっている。新婦人もそういう傾向があります。さらに「民青」です。若者や学生向けの食糧支援に取り組んでいる。メシを食えないというのですから切実です。そういう状況の下で民青同盟の存在感が大きなものになっている

革新懇の役割
 こういう状況を背景に、明確な「受け皿」を示すことが重要になっています。具体的な困難を解決する活動を積み上げ、選挙共闘へと発展させ、さらに政権合意を実現する。これが非常に重要になってきている。政治は変わるんだ、変えることができるんだという確信と希望をどのように国民に示していくか。本気でやるんだということを納得してもらえるような形で示さなければ、やはり国民は動かないと思いますね。
 革新懇には「3つの力」があります。政策の力・組織の力・草の根の力です。その力を強めていくことが重要です。革新懇は政党ではありませんから、いろんな政党に働きかけを行ったり協力要請をしたり、政策合意を求めたりすることができます。連合東京は立憲民主党から立候補する候補者に推薦を出している。この候補者が共産党と与するようになったら推薦を取り消すと、事務局長名で脅しをかけている。共産党と直接に政策合意をやれば推薦を取り消される可能性があるからみんな消極的になってしまいます。
 このときに、例えば市民連合や革新懇などが間に立つ。立憲民主党の候補者と革新懇や市民連合が政策協定をむすぶ。そして共産党とも政策協定を結ぶ。ブリッジ協定というやり方です、間接的に実質的な政策合意や協力がなされるように工夫すればいいんです。この前の4月に行われた3つの選挙ではこのようにやった。
 直接的にやるのがだめなら、間接的にやれば良い、事実上の共闘、事実上の連携をめざす、本来であれば、きちんとした政策合意やはっきりとした協力協定を結び、政権も一緒にやるんだという方向性を明確にすべきなんです。いま立憲野党はきちんとした政策合意をし、政権をともにする決意を示しなさいという署名運動がはじまっています。こういう働きかけも重要だと思います。そういうなかで、共同に向けての機運をさらに高めていくことが必要です。

革新3目標の現代的意義
 革新懇の3つの任務が5月の総会で打ち出されました。要求の実現と共闘の発展、連合政権の実現、共同目標実現の独自追及という課題です。当初から掲げている革新3目標(日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざします、日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざします、日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざします)も、ますます大きな意味を持ってきています。
 命と生活を守り暮らしを豊かにするという目標はコロナ禍の下で極めて重要になってきている。憲法を生かし人権と民主主義を発展させることは安倍・菅政権の下でますます大きな意味を持ってきていることは繰り返すまでもありません。
 同時に、ここで強調しておきたいのは、安保体制の打破をめざしていることの現代的意義です。
 先日、菅首相はアメリカに行って首脳会談を行い、日米共同声明に台湾条項を入れました。「台湾」に言及したということは、台湾周辺海域で中国とアメリカ軍が軍事衝突した場合、戦争法によって自動的に自衛隊が巻き込まれることを意味しています。集団的自衛権行使が一部容認され、重要影響事態や存立危機事態に該当することになりますから。
 戦争法が成立した2015年当時は、中東に自衛隊が引っ張り出される恐れがあるということでした。しかし今や、南シナ海や東シナ海、台湾海峡など、日本の近くが舞台になる可能性が出てきた。「台湾有事」が「日本有事」に直結してしまう。このようなリスクが高まっています。
 ますます日米軍事同盟と安保体制の危険性が大きなものになってきている。そういう状況のもとで、革新3目標に「日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざします」という目標が入っていることは非常に重要だと言っておきたい。
 最後に、革新懇づくりの課題ということでは、連合政権を草の根から支える力としてはまだまだ不十分です。現在、自治体数比36%です。これを過半数以上に増やしていくことが必要だ。『全国革新懇ニュース』の普及も重要です。私たちの近くの人でも取ってない人がたくさんいます。共産党の議員でもとってない人がいる、ぜひ『全国革新懇ニュース』を購読する、さらに広めることにご協力をお願いしたい。

むすび

政党支持の流動化
 政治を変えるための変革の条件は、現政権の正当性の欠如や統治能力の喪失、受難の限界、支持の流動化などの点で生じています。これに新たな希望を示すことができれば政治は変わります。同時に、NHKなどはコロナ問題一色でコロナにハイジャックされているようになっている。国民の中でも「コロナ疲れ」で、「政治どころではない、生活が大変だ」という雰囲気も一部に生まれてきている。
 とはいえ、多くの国民は政治が生活に直結していると感じるようになっているのではないでしょうか。政府や自治体のトップが決めることによって、生活がどうなるのか商売ができるかできないかが左右される。店をいつまで開けられるのか、8時までなのか9時までなのか、お酒を売ることが出来るのかできないのかが決まる。こんなの耐えられない。受難の限界だ。とりわけ、お店をやっている人たちは本当に大変な状況になっていると思います。
 そういう中で政党支持が流動化している。地殻変動が生じ、今までの支持の状況と変わってきている。広島は自民党の強固な基盤でしたが、この前の参院選再選挙では野党候補者が当選した。投票率が下がっても野党候補が勝った。なぜかといえば。政治と金の問題に嫌気がさしたのではないか。自民党支持者が選挙に行かなかった。投票した自民党支持者の3割近くの人が野党候補に入れたんです。
 自民党支持者は「もう付き合いたくないよ」と思ったんじゃないでしょうか。こういう変化が生まれてきている。今までの状況を前提にして考えてはならない。支持状況は音を立てて崩れてきている。新たな希望を示せば、一気に支持状況は変わる、そういう条件が生まれています。

政治は変わるし変えられる
 最近は、あきらめずに声を上げれば政治は変わるし変えられるという実例が次々に生まれてきています。コロナ対策でも、当初は困窮世帯に30万円の支給という構想でしたが、「それではだめだ」となって1人10万円の支給にかわりました。皆さんも受け取ったでしょう。
 最近では、改定入管法が取り下げられましたね。ちょうど1年前、東京地検の黒川検事長の定年延長を目論んだ法案が取り下げになった。
 今年に入っても、東京五輪組織委員会の森会長が女性蔑視発言で辞任に追い込まれ、その後の不明朗な後継者選びもやりなしになりました。
 こういうことが次々に出てきている。声を上げれば変えられる。ネットの中での発言も大きな影響力がある。これからの選択はさらに強力だ。ネットで声を上げるだけでなく、選挙で1票を投じるからです。これからの選挙では、命を守るための選択が問われることになると思います。
 その選挙に向けて、こう言いましょう。「自公政権はもう時効だ!」と。
 しかし、秋の総選挙で野党が多数になっても、それですべて決着がつくわけではない。参議院はまだ与党が多数ですから、「ねじれ状態」になるだけです。
 そうであれば、最終的に決着がつくのは来年の参院選になるでしょう。都議選で立憲野党が躍進し、総選挙で多数となって我々の政府を樹立する。さらに、来年の参院選で野党が勝利することによって政権の安定を図る。これが今後の目標です。
 これからの1年間は大変な時代、まさに激突と激動の時代になるんじゃないか。コロナに感染しないよう健康に留意しながら、私たちの政府をつくり「新しい政治」に向けての扉を開く。それに向けてのさらなるご尽力をお願い致しまして、私の話を終わらせていただきます。どうも、ありがとうございました。

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