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8月28日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月28日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「ワクチン一本足打法の危うさ ファイザー抗体3カ月で激減」

 イスラエルは世界的にも格段に早い段階でワクチン接種が進んだ国であり、多くの国民が接種から数カ月を経て抗体値が下がっていることが原因かもしれないが、入院患者の半分以上がワクチン接種済みとは驚きだ。しかも「重症以上」なのだから、ワクチンの効力に疑念が生じるのも当然だろう。3回接種でもデルタ株を抑え込めるかは未知数だとして、イスラエルの専門家は「追加接種は解決策となり得ない」とクギを刺している。

ワクチン頼みの楽観で国会は開かず総裁選を決めた

 「コロナ対策が後手後手の日本は、ワクチン接種も遅れましたが、デルタ株という強敵にはワクチンだけで対抗できないことが明らかになってきても、菅政権は相変わらずのワクチン一本足打法です。政府分科会の尾身茂会長も国会の閉会中審査で『ワクチンは重要な柱だが、柱は1本ではなく、2本、3本、4本必要だ』と訴えていました。現政権の『ワクチンさえ行き渡れば大丈夫』というワクチン頼みの姿勢は、もはや周回遅れどころか、世界の潮流から2周、3周も遅れているのではないか。いまだに医療体制の逼迫は解消されないし、医療従事者へのバックアップや、営業自粛を余儀なくされている事業者、職を失って困窮する国民への手当ても不十分だというのに、ワクチンが普及すれば、すべてが解決するという“夢物語”を語っているように見えます」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 デルタ株による「第5波」は一向に収束する気配がなく、政府は25日に緊急事態宣言に8道県、まん延防止等重点措置に4県を追加。8月だけで3度目の追加・拡大だ。9月12日までの対象地域は計33都道府県に上る。

 菅は質疑応答でもワクチンと抗体カクテル療法の効果を繰り返し、「今は2つの武器を持っている」とか言っていたが、入院もできず自宅放置で、いつ体調が急変するか、死の恐怖と戦い続けている人は絶望のトンネルの中だ。コロナ対策にあたる自治体も、医療従事者も、嵐の真っただ中なのである。

 「菅首相の発言は楽観的すぎるし、昨年の『GoToキャンペーン』がそうだったように、一度決めたら覆さず、うまくいっていると強弁し続ける頑迷さを感じます。それが、コロナ対応の失策につながっている。臨機応変な対応ができず、間違っていても決して誤りを認めようとしないのです。それでオリパラ大会も強行し感染爆発を招いたのに、因果関係はないと言い張っている。これでは、国民は政府の言うことを何ひとつ信用できません。この国難に国会も開かず、自民党総裁選の決行だけは決めた与党を見ていると、どこまで危機意識があるのかも疑問です。五輪と同じで、自粛を呼びかけながら総裁選をやるのは矛盾したメッセージになりかねません」(五十嵐仁氏=前出)

 26日、自民党総裁選が9月17日告示、同29日投開票で実施される日程が決まり、事実上の選挙戦が始まった。9月末まで自民党議員は国民生活そっちのけで総裁選にかまけ続けるわけだ。

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