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9月11日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「自民党ボス争いはご勝手に 国民は野党連合の大転換に期待」

■安倍政治を続けるための総裁選

 「立候補予定者は、長期政権で政治を私物化してきた安倍前首相と麻生財務相のコンビから支援を得るために恭順の意を示し、安倍路線の継承を競っているように見えます。高市氏はもともと政治信条が安倍直系の右派だし、岸田氏も2人の支援を期待して“モリカケ桜”などの疑惑追及に後ろ向き。宏池会の領袖なのに憲法改正にも言及して安倍氏の歓心を買おうとしている。改革派を気取っていた河野氏も、持論だった脱原発や女系天皇容認論を封印し、安倍氏の軍門に下って出馬表明にこぎつけた。安倍氏にとっては、岸田、高市、河野の誰が勝っても疑惑を蒸し返されることはなく、影響力を行使できる状況です。つまり、誰が総裁になっても安倍支配は変わらない。この閉塞感を打ち破ることができるのは、森友問題の再調査の必要性も明言して安倍氏にスリ寄らない石破元幹事長だけですが、そういう人は党内で迫害され、総裁選に出られるかどうかも分からない。今後も安倍政治を続けるための総裁選になっています」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 平然と嘘を繰り返して国会を冒涜し、「桜を見る会」前夜祭の問題では捜査対象にもなっている希代のペテン師である安倍と、その盟友関係にある麻生財務相による支配の軛から逃れられない隷従集団が自民党の正体ということだ。それが、よく分かった。誰も「おかしい」と声を上げず、不法者を追放しようともせず、むしろ自ら進んで平身低頭、安倍・麻生支配に従う権力亡者の集まりに期待してもムダなのだ。

 大メディアはそんな猿山の争いを朝から晩まで実況し、「野党は埋没」「存在感がない」などと言っているが、あまりに国民をバカにしていないか。国民のこともサル扱いか。自民党議員と一緒にしないでもらいたいものだ。

■政権交代なら1日で政治が変わる

 今回の政策協定を土台にして、野党が候補者一本化を早急に進め、政権奪取後の具体的なビジョンを発信する。それで有権者の関心が高まって投票率が上がれば、政権交代は夢ではない。いま求められているのは忖度、隠蔽、恫喝、縁故主義で一部の上級国民だけがいい思いをする特権政治からの脱却なのである。

 「長く続いた安倍1強支配で自公政権は変質し、劣化腐敗して国民の声を無視するようになった。それがコロナ対策の失敗にもつながりました。自公政権はもはや統治能力を失っていて、総裁を代えれば何とかなるレベルではない。1回リセットが必要です。立憲民主党は、次期衆院選に向けた公約第1弾として、政権交代したら最初の閣議で決定する事項も発表しました。新型コロナウイルス対策を盛り込んだ30兆円規模の補正予算や、森友・加計学園問題の真相究明チーム設置、菅政権で拒否された日本学術会議の会員候補6人の任命、出入国管理施設で収容中に死亡したスリランカ人女性の監視カメラ映像公開などです。安倍支配下の自民党総裁選では何も変わらないが、政権交代すれば1日で政治が変わる。自民党総裁選を『事実上、次の首相を決める戦い』と報じる大メディアも安倍長期政権で一種の不感症になり、自民党が常に与党だと思い込んでいるのではないか。総裁選の直後に行われる衆院選の結果によっては、野党党首が首相になるかもしれないのです。もっと大きな視点で、安倍政治継続の是非や与野党の政策争点を報じた方が、よほど国民のためになるでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 自民党総裁選は、しょせんは内輪の話であり、国民不在で安倍の傀儡を争う卑小なイベントにすぎない。国民のために働く政治を切望するなら政権交代しかないのだ。

 だいたい、このコロナ禍で国会も開かず猿山のボス争いに興じている政党に国と国民の命運を託せるか? 国民が総選挙で厳しい審判を下さないかぎり、自民党は変わらない。甘やかせばツケ上がり、ますます国民をナメてかかるだけだ。

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