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10月19日(火) 共闘の力で科学と学術を尊重する新たな政権の樹立を [論攷]

〔以下の論攷は、日本科学者会議の『東京支部つうしん』No.648 、2021年10月10日付に掲載されたものです。〕

 メディアを乗っ取ったようなバカ騒ぎの末に、自民党の総裁選が幕を閉じました。菅首相の突然の不出馬表明、4人の候補者の乱立、派閥の流動化と乱戦、決選投票の果てに、ようやく自民党のトップが決まったのです。結局、総裁に選出されたのは岸田文雄前政調会長でした。
 総裁選をめぐる一連の動きで明らかになったのは、「安倍支配」の継続です。1年前に辞任した安倍晋三前首相ですが、後継の菅義偉首相を通じて影響力を維持し、今回の総裁選でもその力を見せつけました。米誌『ワシントン・ポスト』も書いていたように、「総裁選の勝者は安倍晋三」だったのです。
 安倍前首相は高市支持を鮮明にしてテコ入れし、岸田氏と河野氏も安倍氏にすり寄りました。「反安倍」の立場を取ってきた石破氏は立候補すらできませんでした。高市支持が急伸したのも、今の自民党がいかに「安倍支配」に毒されているかを示しています。
 安倍前首相が固執していた改憲路線や敵基地攻撃能力の保有などを、4人の候補者全員が受け入れていたことも象徴的です。菅首相による日本学術会議の人事への介入も、元をただせば安倍首相時代から始まっていたことで、菅首相はそれを踏襲したにすぎません。
 このように、今の自民党は「安倍支配」の影に覆われています。新しい首相が選出され「本」の表紙が変わっても、1ページ目には「安倍晋三に捧ぐ」という献辞が出てくるようなものです。「安倍支配」を打ち破るためには「本」そのものを取り換えなければなりません。
 その機会は間もなくやってきます。11月には必ず総選挙が実施されるからです。この機会を逃してはなりません。安倍・菅政治とその「背後霊」に支配されている後継政権を打倒し、論理と倫理に基づき科学と学術を尊重する新しい政権を樹立する必要があります。
 すでに市民連合を仲立ちとした政策合意が野党4党間で結ばれ、市民と野党の共闘に向けての「陣立て」ができました。各選挙区での統一候補の擁立も進み、「一対一の構図」も生まれています。
 とはいえ、情勢は楽観できません。総裁選でのバカ騒ぎと新首相誕生での「ヨイショ」報道で新内閣の支持率は上昇するにちがいありません。菅内閣への批判という「追い風」があった都議選や横浜市長選の時とは状況が一変しています。
 コロナ失政と菅首相による「敵失」をあてにすることはできなくなったのです。野党は「逆風」の中での選挙戦を覚悟する必要があります。どのような状況であっても揺るぎのない共闘態勢を組むことでしか、この「逆風」を跳ね返すことはできません。
 「安倍支配」を打ち破り、国民の声を聞き専門家の意見に耳を傾ける新しい政治を実現しましょう。市民と野党の共闘の力でこそ、それは可能になります。野党連合政権になれば、その最初の閣議で学術会議の6人の会員を任命し直すこともできるのですから。


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