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11月16日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月16日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「勘違いと謀略報道 立民は“負け”を共産党のせいにするな」

 枝野も、辞任会見の質疑応答で野党共闘に関して「新代表にも同じ方向性を求めていくのか」と問われると、「戦略、戦術論としては、実態以上に(共産党と)近い関係と受け止められてしまった」とか言っていたが、それは共産に対して失礼ではないか。協力は欲しいが仲間と思われたくないというのは、あまりに都合が良すぎる。何様なのかという話だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「共産党のせいだと責任転嫁しているようでは、話になりません。現行の小選挙区制で自公に勝つには、候補者を一本化するしかない。共産党と共闘したから、甘利前幹事長や石原元幹事長に選挙区で勝つことができたのです。共闘を解消すれば、野党が乱立して自公を利するだけ。立憲がさらに議席を減らすのは自明です。実際、衆院選の小選挙区では公示前の46から57に議席を増やしている。共闘の効果はあったのです。全体で14議席減の96議席に落ち込んだのは、比例代表で23議席も減らしたことが主因で、政党名を書いてもらえなかった立憲自身の問題です」

 共産と手を組んだせいで負けたと思いたいのかもしれないが、敗因というのは往々にして自らの内にあるものだ。

■批判は自公の危機感の裏返し

 引退した自民の伊吹元衆院議長も10日の福岡市内での講演で、衆院選は「自民が政権を失った(2009年の)時と似たような雰囲気があった」と話していた。その上で、「立憲はとんでもないミスをした。国家運営の基本に関わる意見が違う党が、選挙の票のために集まった」と批判していたが、危機感の裏返しだ。自民と公明だって、基本に関わる意見は違う。それなのに、ことさら野党共闘の失敗を喧伝するのは、解消してもらった方が今後の選挙が楽だからだ。

 「そういう共闘解消論に大メディアも加担している。野党も支持者もこれに惑わされないことです。立憲が見直すべきは共産よりむしろ連合との関係でしょう。連合の主体は大企業の労組ですから、コロナ禍にあえぐ一般庶民の気持ちは分からない。派遣や非正規労働者の待遇改善にも関心がありません。立憲は、連合の顔色をうかがわなくても勝てるように地方組織をしっかりつくって足腰を鍛えることに注力すべきです。労組に“おんぶに抱っこ”では、独自の政策を打ち出すこともできない。連合と共産の仲介役を担えるような地力をつけることが先決です。問われているのは共産との関係ではない。民主主義か非民主主義かの戦いで、共産との共闘を解消すれば、来年の参院選で野党はさらに惨敗し、自民独裁の暗黒国家が未来永劫、続いてしまうことになりかねません」(五十嵐仁氏=前出)

 野党第1党の座を守ることだけに汲々とすれば、かつての社会党の二の舞いになるだけ。

 公示前より減らしたといっても野党第1党である以上、新たな政治の希望を有権者に提示して欲しいし、そのためには野党共闘が欠かせない。人権より利権の自公政権が制度疲労を起こしていることは疑いようもないのだ。


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