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12月21日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「“粉飾アベノミクス”に断罪を 日銀はいよいよ「出口なし」」

 結局、粉飾アベノミクスと禁断の異次元緩和がもたらしたのは株高のみ。それも、実体経済を反映せず官製相場ではね上げたに過ぎない。市場にあふれたマネーが設備投資や人件費に回る好循環は、安倍の首相在任中から今の今まで一度も生じていない。

 輸出産業が巨額の利益を上げ、企業の内部留保が12年度の304兆円から20年度には484兆円まで膨らんでも、下請けや低所得者に恩恵は及ばない。実質賃金は低下を続け、とうとう15年には名目の平均賃金まで韓国に抜かれてしまった。

 何せ、日本の平均賃金はOECD加盟35カ国のうち22位まで順位を下げた。過去20年間の上昇率はたった0.4%。富裕層が株高で潤っても、大半の労働者は「昇給ゼロ」の状態だ。「ちっとも給与が上がらない」と嘆き、格差を実感する人々が増えるわけである。

■世界的インフレ下に物価目標2%を続ける愚

 「安倍元首相が掲げた『トリクルダウン』はマヤカシでした。国民の多くが成長の果実を得られず、生活実感が悪化しているのが何よりの証拠です。かつての日本経済は旺盛な内需が支えていましたが、完全に衰退。長年『全体の6割前後』とされたGDPに占める個人消費の割合も、今や5割を切りそう。その問題意識から岸田首相も一度は『分配なくして成長なし』『新自由主義からの転換』を掲げたのに、軌道修正。明らかに失敗したアベノミクスをなぜ継承するのか、理解に苦しみます」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

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