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4月17日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「プーチン失脚か第3次世界大戦か…停戦合意などもう絶望」

 ロシア軍の蛮行がジェノサイドにあたるか聞かれたグテーレス事務総長は「人権侵害に深い懸念を抱いているが、ジェノサイドの認定は司法当局に委ねる」と明言を避けている。

 フランスのマクロン大統領も、「ジェノサイドの言葉を使って非難すれば戦争が拡大する恐れがある」と使用に慎重だ。そういうマクロンの抑制的な態度をゼレンスキーは非難していたが、いま国際社会に求められているのは、刺激的な言葉でロシアを挑発することより、一刻も早い停戦への努力なのではないか。

 「米国のバイデン大統領は、国際社会向けに戦争を終わらせるポーズはするでしょうが、本音では戦争状態を続けたいのでしょう。軍事産業が儲かり、献金が増える。ロシアに対する経済制裁で米国産のエネルギーは高騰し、アフガン撤退で地に落ちたバイデンの外交手腕も回復しつつある。経済的にも軍事的にもロシアを弱体化させることができるし、いいことずくめです。この戦争の最大の受益者がバイデン大統領だと言っていい。戦争が継続した方が、今年11月の中間選挙にも有利に働くと考えているはずです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 米国では、今も共和党のトランプ前大統領が一定の影響力を保持している。ただ、トランプは親ロシアであり、トランプ大統領誕生にはロシアが世論誘導に協力したともいわれている。プーチンのロシアに対する米国民の憎悪を煽ることは、民主党のバイデンにとって重要な選挙対策の一環なのかもしれない。

 トルコ、東欧諸国、バルト3国に加え、北欧がNATOに加われば、地政学的に「ロシア包囲網」が完成する。欧州の安全保障環境が根本的に変わるわけだ。ロシアは孤立し、“北朝鮮化”する。そういう国が、国連の安全保障常任理事国という現実。プーチンの暴走はいよいよ止められなくなるのではないか? それを米国は、国際社会は望んでいるのだろうか。

 「早く戦争が終わってほしいと世界中の人々が願っていますが、プーチン大統領を糾弾していれば支持率が上がるという西側諸国の事情もあって、各国の権力者の思惑のために戦争は続き、ウクライナの一般国民が犠牲になっている。これが戦争の惨さです」(五十嵐仁氏=前出)

 決定的に局面が変わるとすれば、プーチン失脚か第3次世界大戦勃発か。それまでウクライナでの戦闘は続き、それを国際社会が容認して、西側諸国はウクライナへの軍事支援を続けるのか。

 戦争の長期化、泥沼化で喜ぶ人もいるのだろうが、犠牲になるのはいつだって一般市民だ。

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