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6月28日(火) 大軍拡・9条改憲論に乗せられてはならないこれだけの理由(その2) [参院選]

 『東京新聞』の昨日(6月27日付)の社説は「外交安保政策の基本は、戦争を始めない、始めさせないことだ。防衛力増強に偏った姿勢はこの基本に背くことにならないか」と問うています。まさにその通りで、大軍拡は「外交安保政策の基本」にも憲法の平和主義にも「背くことになる」のは明らかです。

 この点で重要なのは、このような「防衛力偏重」路線は安保条約に基づく日米軍事同盟を背景としているということです。それと憲法9条改憲論は一体のものだという点も強調しておかなければなりません。
 安保に基づく日米軍事同盟は日本を守ってきたのではなく、日本を戦争に引きずり込む役割を果たしてきました。これに対して憲法9条は戦争への加担と協力に対する重要な歯止めとなってきました。
 歴史を振り返ってみれば、安保こそが戦争への呼び水であり9条はそれに対するバリアーとなってきたことが明らかになります。憲法9条の改憲を論ずるにあたっては、このような両者の相互関係を改めて確認し、再認識する必要があります。

 歴史的な事実としては、ベトナム戦争とイラク戦争での事例が象徴的です。安保によって日本はベトナム戦争に協力させられ、沖縄の米軍基地は出撃・補給・休養などの面で重要な役割を果たしました。
 しかし、9条などの憲法上の制約があったために、直接、自衛隊の部隊を派遣することはありませんでした。この点は、韓国などの同盟国とは大きく異なっています。
 イラク戦争では安保によって陸・海・空の自衛隊が派遣されましたが、陸上自衛隊が赴いたのは「非戦闘地域」とされるサマーワで、飲料水の供給や道路の補修などの非軍事的業務に従事し、PTSDの被害はありましたが殺すことも殺されることもなく引き上げてきました。自衛隊は「9条のバリアー」によって守られていたのです。

 なお、これとの関連でとりわけ強調しておきたいのは、沖縄米軍基地の役割とその意味についてです。沖縄に駐留する米軍は日本の防衛ではなく他国への殴り込みを主要な任務とする「海兵隊」であることはよく知られていますが、その米軍基地はベトナム戦争で出撃基地となり、爆撃機がベトナムに向けて飛び立っていくなど重要な役割を果たしました。
 沖縄での基地がなければ米軍はベトナムに介入したり、戦争を継続したりできなかったかもしれません。ベトナムへの軍事介入はトンキン湾事件のでっち上げを口実にした不正義の戦争で、アメリカの若者5万8000人が亡くなり、ドルの支配体制の崩壊をもたらすなどアメリカにとっては大きな傷跡を残す痛恨の失敗でした。
 アメリカはベトナムでの戦争に介入すべきではなく、大きな過ちを犯しました。沖縄に米軍基地が無ければ避けられたかもしれない過ちであり、この点で沖縄の米軍基地は沖縄にとってだけでなく、アメリカにとっても無いほうがよかったのです。

 このことは、これからあるかもしれないと言われている「台湾有事」にとっても、大きな教訓を残しています。台湾周辺での偶発的な衝突が米中間の本格的な戦争に発展する誘因となるかもしれないからです。
 沖縄での基地や南西諸島での自衛隊のミサイル基地が無ければ断念するかもしれない戦争を、基地あるがゆえに踏み切ってしまうリスクがあります。こうして、今後予想される米中対決と台湾有事に際しても、沖縄の米軍基地は軍事的対抗の呼び水になるかもしれません。
 しかも、戦後のアメリカは中南米やアフリカ、インドシナや中東などで、不当な軍事介入を繰り返して失敗を積み重ね、安保という日米軍事同盟に縛られて自主性を持たない日本政府はこれに追随するばかりでした。対北朝鮮や中国に対してだけアメリカは間違えず、日本政府も自主的な対応が可能だと言えるのでしょうか。

 その上、台湾有事への自衛隊参戦のリスクは、これまで以上に高まっています。平和安保法制(戦争法)によって集団的自衛権の一部が容認され、米中間の軍事的衝突が生じ、日本が攻撃されていなくても存立危機事態と認定されれば、自衛隊は米艦防護などのために共同作戦体制に組み込まれることになります。
 もし、憲法9条に自衛隊が書き込まれれば、もはや憲法上の制約を理由にこのような参戦を断ることはできなくなります。というより、自動的な参戦によるフルスペック(全面的な)での戦争協力を可能とするために、9条に自衛隊を書き込もうとしているのです。
 大軍拡と9条改憲はアメリカによる台湾海峡への軍事介入という戦争への呼び水になるかもしれず、日本を戦争から守り自衛隊員のバリアーとなってきた憲法上の制約が失われれば、もはや戦争を避ける歯止めはなく自衛隊は戦火にさらされることになります。そうならないことを祈るような気持ちで見つめているのは、自衛隊員とその家族、関係者の皆さんではないでしょうか。

 もう一つ、憲法9条が果たしてきた重要な役割について指摘しておきたいと思います。それは「9条の経済効果」と呼ばれるものです。9条は防衛費ではなく民生への投資を増やし、平和経済の確立によって戦後の高度経済成長を生み出すという大きな成果をもたらしました。
 その結果、アメリカにとって日本は経済摩擦を引き起こすほどの手ごわいライバルに成長したのです。そこでアメリカが持ち出してきたのが米国製兵器の購入拡大と防衛分担であり、最近では合同軍事研究と経済安全保障です。これらによって平和経済から軍事経済へと転換させ、ひいては日本の経済成長の足を引っ張ることでアメリカのライバルや脅威にならないようにしようと考えているのではないでしょうか。
 自民党や維新の会が叫んでいる大軍拡や9条改憲、学術研究の軍事化、経済・貿易面での安全保障上の制約などは全てこのような思惑に沿ったものです。大軍拡と9条改憲によって失われるのは、平和国家としてのブランドを生みだした日本への好印象と魅力、文化・芸術・人的交流などの安全保障のソフトパワーだけでなく、「9条の経済効果」がもたらした平和経済としての成長力、学術研究の発展と技術開発力などでもあるということを忘れないようにしたいものです。

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