SSブログ

7月18日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「民主主義まで持ち出して安倍国葬 この国を覆う空気の薄気味悪さ」

■外交も経済も「負の遺産」ばかり

 自民党の高市政調会長は「国際社会で大きな存在感を示し、実績を残された。国葬は当然だ」と豪語。大マスコミや専門家の間でも「日本の国際的地位を一定程度築いた」などと“外交の安倍”を評価する声が上がっているが、冗談じゃない。トランプ米大統領を必死にヨイショし、米国製の高額兵器を買い漁り、尻尾を振りまくっただけではないか。

 内閣の最重要課題に掲げた北朝鮮の拉致問題は在任中は1ミリも進展せず、ロシアとの北方領土問題はレガシーづくりに焦るあまり、2島返還まで後退させてもプーチン大統領に足元を見られて大失敗。“ならず者”に巨額の経済協力費をむしり取られたことも含めて、成果はマイナスである。

 「新型コロナ対策はアベノマスクと一斉休校だけ。経済政策もアベノミクスは大失敗です。岸田首相が『大胆な金融緩和』という負の遺産を継承した弊害で円安が加速し、国民生活は今、物価高に苦しめられています。安倍政権の実績を時間をかけて検証すればボロボロなのに、岸田首相は『国葬』決定で冷静な検証にフタをしているように映ります」(法大名誉教授・五十嵐仁氏)

 当然、税金の使い道として国民から疑義をもたれ、政府内では「行政訴訟を起こされるリスクもある」との懸念もあった。そんな慎重論を退けてまで、岸田が安倍の国葬を押し切った背景には「元首相の非業の死」を政治利用して、政権基盤を固めようとする思惑が透けて見える。

 まず自民党の国会議員の約4分の1にあたる93人所属の最大派閥・安倍派への配慮だ。特に安倍の急死直後から保守系議員や支持層は国葬を求める声を強めていたため、党内結束の維持や、いわゆる「岩盤支持層」の自民離れを回避する狙いもあるだろう。前出の五十嵐仁氏はこう言った。

 「吉田元首相には戦後日本の礎を築いたという国民的な評価があり、『吉田学校』と称されるほど戦後日本を牽引した多くの後継者を育てました。安倍元首相にそれだけの功績がありますか。今の安倍派の混乱は派閥領袖の不慮の死があったとはいえ、安倍氏が後継者を育ててこなかったのが大きな要因です。かような政治家の国葬を実施することで、吉田元首相に肩を並べる大政治家として顕彰し、政治的評価を度外視して『志半ばに非業の死を遂げた偉大な政治家』のごとく祭り上げる。国家指導者の個人崇拝強化は北朝鮮と同じ全体主義国の発想です。岸田政権は悲劇の元首相の神格化を図って、この先は『安倍さんの遺志』を錦の御旗にし、防衛費倍増や改憲に邁進するのは間違いありません」


nice!(0) 

nice! 0