SSブログ

7月27日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「日に日に反対論噴出 安倍国葬は岸田政権の命取りになるだろう」

 9月27日の実施が閣議決定された安倍元首相の国葬も、その是非をめぐり国論が二分されつつある。「あんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫び、社会の分断をあおった人物を弔うのに“ふさわしい”ということなのだろうか。岸田首相はつくづくバカなことをしたものである。

 自民党の茂木幹事長は「国民から『いかがなものか』との声が起こっているとは認識していない」と強気で切り捨てたが、安倍の国葬について「いかがなものか」という反対の声が日に日に増している。

 21日には市民団体が閣議決定と予算執行の差し止めを求める訴えを東京地裁に起こした。22日は、首相官邸前で市民数百人が反対デモ。「国会でしっかり議論すべし」「岸田首相は政権維持のために政治利用している」などの批判が上がった。南日本新聞(鹿児島県)が22~23日に実施したアンケートでは、「反対」72.2%で「賛成」の23.1%を大きく上回ったという。

 実際、世論は賛否が割れている。それは“安倍シンパ”メディアの世論調査でも実証された。23~24日に行われた産経新聞社とFNNの合同世論調査で、政府の国葬決定について「よかった」「どちらかと言えばよかった」が50.1%、「よくなかった」「どちらかと言えばよくなかった」が46.9%と賛否拮抗だったのだ。

■勇み足で政争の具に

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「外国からの弔電がたくさん届き、献花に行列もできた。これなら国葬をやれる、自民党内の右派のご機嫌も取れる、と踏んだ岸田首相は勇み足でした。時間が経てば、国葬には問題がたくさんあることに世論が気づくのは当然です。まず“特別な人”として国が旗を振って弔意を示すのは戦前の制度であり、法の下の平等の今の時代にはそぐわない。次に、法的根拠が曖昧なのに、国会で議論することなく内閣が勝手に決めるのはおかしい。極め付きが、誰あろう、功罪の「罪」が多い安倍氏ですよ。ただ歴代最長だからでは納得できません。結局、国葬にしたから政治問題化した。遺族はいたたまれないでしょう。慣例通り『内閣・自民党合同葬』にして、静かに故人の冥福を祈る方が、遺族にとってはよかったのではないですか。岸田首相が国葬を政治的に利用しようとしたから、政争の具になってしまったのです」

nice!(1) 

nice! 1