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8月8日(月) 自民に「漁月夫の利」与えた参院選(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『全国商工新聞』第3517号、8月1日付に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 分断攻撃に屈し 戦術戦略で失敗

 このような不利な情勢の下で選挙に臨んだ野党でしたが、昨年の総選挙の総括を間違えて戦術的な失敗と戦略的な混迷に陥りました。政権との対決の強化と野党間の共闘の再建こそが必要な策であったにもかかわらず、その逆を選択してしまったからです。
 総選挙後、「批判ばかりだ」という批判にたじろいだ国民民主は「対決より解決」を掲げて政権にすり寄り、これに引きずられた立憲も政権批判を手控えて対案路線を打ち出すなど、維新の会を含めた翼賛体制づくりの波に飲み込まれました。これでは政府・与党を追い詰めることはできません。
 加えて、「共闘は野合」などの分断攻撃に屈し、連合による揺さぶりによって腰が引けた立憲は野党共闘に消極的な姿勢を強め、自民党の思うつぼにはまってしまいました。立憲が比例で大きく得票を減らしたのは、野党共闘の要としての役割を果たせず有権者の失望を招いたからです。
 その結果、32ある1人区での共闘は11にとどまり、自民28勝、野党4勝という結果に終わりました。こうなるのはある程度予想されていたことで、一人区での分立が自民党に漁夫の利を与え、勝利をプレゼントしたのです。共闘に向けて真剣な取り組みを行わなかった立憲と、背後から足を引っ張った連合の責任は大きいと言うべきでしょう。

 「活憲の政府」へ 展望生む運動を

 今後の課題の第1は、コロナ禍と物価高から命と暮らしを守るために、医療体制を整備し、消費税の減税とインボイスの中止などを求めていくことです。新型コロナの第7波が訪れ、値上げの大波が押し寄せてくるのはこれからですから。
 第2の課題は、大軍拡・9条改憲阻止のための憲法闘争です。選挙後、岸田首相は改憲に向けて「できるだけ早く発議」することを強調していました。戦争に巻き込む安保体制とそれへの防波堤となってきた憲法9条の相互関係、9条改憲によって「失うものの大きさ」と「招き寄せるリスクの危うさ」を、事実に照らして説得的に訴えることがますます重要になります。
 第3の課題は、野党共闘を再建することです。きちんとした総括と反省の上に立って、草の根から立て直していかなければなりません。
 これらを通じて、憲法に寄り添い活かせる「活憲の政府」に向けての展望を生み出すことが第4の課題です。国政選挙での審判を受けることのない「黄金の3年間」を許さず、自民党と旧統一協会の闇の解明などによって早期に与党を追い込んで、解散・総選挙を勝ち取りましょう。

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