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8月27日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』8月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「誰が得するのか 原発新増設という悪魔の選択」

 岸田が原発政策の大転換を表明したのは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを議論する「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」の場。「再生エネルギーや原子力はGXを進めるうえで不可欠な脱炭素エネルギーだ」と強調していたが、脱炭素を錦の御旗にしていることもうさんくさい。

 これまで日本政府は地球温暖化対策に消極的で、2019年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に出席した小泉進次郎環境相(当時)が、環境NGOから不名誉な「化石賞」に選ばれたことが大きなニュースになった。昨年開かれた「COP26」でも、日本は2回連続の「化石賞」受賞だった。

 それがウクライナ戦争で原油や天然ガスが高騰し、ガソリンや電気料金の値上がりが家計を圧迫すると一転、「脱炭素だ」「原発だ」と騒ぎ出す。今年3月と6月には電力需給逼迫警報が発出され、電力不足に対する国民の不安感は嫌でもあおられた。参院選後の今がチャンスと、岸田が考えただろうことは想像に難くない。

 「原発ムラの要望を受け、政府はずっと原発推進に転換したいと思い続けてきた。ロシアのウクライナ侵攻で格好の『口実』が生まれたわけです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 日本政府が経済制裁しているロシアとの取引である。民間企業にとってはリスクが高いが、岸田政権は当初から「サハリン2から撤退しない」と言い続け、経産省が萩生田前大臣の時から、両社に継続出資をモーレツにプッシュしてきた。それに応えた形である。

 しかし、ロシアを非難・制裁しながら、一方でロシアに頭を下げてLNGを売ってもらうのは、どう考えても矛盾している。さらには、その一方で戦争によるエネルギー価格高騰と電力逼迫を理由に原発回帰に走るのも、矛盾だ。

 「それが岸田首相のスタイル。いろんな話に耳を傾けながら、言われた通りに動く。政策に一貫した理念はなく、整合性にもこだわらない」(五十嵐仁氏=前出)

 姑息な首相である。原発を新増設して、一体だれが喜ぶのか。

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