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2月22日(水) 追悼 畑田重夫さん [論攷]

〔以下の追悼文は『学習の友』No.835 、2023年3月号、に掲載されたものです。〕

 国際政治学者の畑田重夫さんは、私にとって大恩ある「先生」でした。就職のきっかけを作っていただいたからです。その方の訃報に接し、残念な思いでいっぱいです。
 私が初めて畑田さんにお目にかかったのは1986年の夏でした。学習の友社から刊行された畑田重夫編『現代の政治論』執筆の打ち合わせのためです。このとき初の単著刊行の労も取っていただき、それがきっかけとなって定職に就くことができました。
 打ち合わせが終わった時、ポケットから憲法の小冊子を出され、「いつも持ち歩いてるんだ」と仰られたことが強く印象に残っています。戦争に動員された同期の「わだつみ世代」でただ一人の生き残りとして、9条に殉ずる「憲法人生」を貫いた生涯でした。 
 東大卒で旧内務省を経て名古屋大学助教授になった経歴を捨て、「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民と共に学び、ともにたたかう道を選択した」(『わが憲法人生 70年』)ために、「定収のない生活」でのご苦労も多かったと思います。それにもへこたれず、労働者教育協会会長や勤労者通信大学学長、全国革新懇の代表世話人、日本平和委員会の代表理事などを歴任され、都知事選にも2度立候補されています。
 とてもまねのできない、一本筋の通った苛烈な生きざまでした。政治学者で労働者教育協会理事、全国革新懇の代表世話人として同じような道を歩んできた私にとっては偉大な先達であり、手の届かないお手本です。亡くなる直前まで、新聞への投書などで励ましていただきました。
 大軍拡の波が押し寄せ、憲法破壊の危機が高まる下でのご逝去でした。心残りだったと思います。やり残された課題を引き継ぐために、畑田さんがよく口にされた言葉を深く胸に刻みたいと思います。
 「学び、学び、そして学べ」

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