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3月21日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「財源も示さず選挙用の打ち上げ花火 増税・防衛費倍増 少子化対策 どっちが本気かは歴然だ」

「ラストチャンス」の大半を防衛費倍増に注力

 「岸田首相は『異次元の少子化対策』だか『次元の異なる少子化対策』だかを華々しく打ち上げたものの、その具体策がサッパリ見えてこないことへの不満が有権者にはある。それで慌てて記者会見してみせたのでしょう。4月の補選や統一地方選を意識したパフォーマンスですよ。だから、児童手当拡充などのバラマキもにおわせた。しかし、子ども・子育て政策の大枠は6月の『骨太の方針』で明らかにするという見切り発車で、具体策や財源は先送りです。本当にやる気があるのかどうか。ありとあらゆる財源をかき集めて強行する防衛費倍増と比べると、本気度の違いは明らかです。岸田政権の子ども・子育て対策はまったく中身がないゴマカシだということをメディアがきちんと伝えないから、“やってる感”だけで支持率が上がるのです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 岸田政権は今後5年間で総額43兆円を防衛費に投じることを決めた。現行水準からの増額分となる約17兆円の財源には、23年度予算案で4兆6000億~5兆円程度の税外収入を確保。具体的には、外国為替資金特別会計と財政投融資特別会計からの繰入金(約3兆7000億円)、東京・大手町の国有ビル売却収入(約4000億円)、新型コロナウイルス関連予算の返納金(約750億円)などだ。これを複数年度にわたって防衛費に充てる枠組みとして、「防衛力強化資金」を創設する。

 だが、税外収入は本来、一般会計全体で使えるカネのはずだ。それを防衛費に特化することで、他の政策経費に使える財源が減る。当然、子ども・子育て政策にも使えなくなる。

 第2次安倍政権以降、「我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しうんぬん……」が常套句になり、岸田もそう言って防衛費倍増が時代の要請みたいな言い方をするのだが日本の防衛費をNATO並みのGDP比2%にすることに明確な根拠があるわけではない。岸田が勝手に米国のバイデン大統領に約束してきただけのことで、“国際公約”でも何でもないのだ。我が国が直面する少子化対策よりも優先する必要があるのかどうか。

 「日本の国土を狙ってミサイルが飛んで来る可能性がどれだけあるかは分かりませんが、少子化は確実な危機です。岸田首相は、防衛費を倍増、子ども予算も倍増と気前のいいことを言っていますが、どこにそんなカネがあるのか。どのみち増税しか道はなく、ますます国民生活は疲弊する。防衛費倍増に注力することによってミサイル攻撃を受ける前に内側から社会が崩壊してしまいます」(五十嵐仁氏=前出)

 岸田は17日の会見で、「2030年代に入るまでのこれから6年から7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と言っていた。だが、今後5年間の防衛費倍増計画にリソースを取られれば、ラストチャンスをフイにしてしまいかねない。ま、岸田の異次元少子化対策なんて、その程度のもの。口先だけということだ。

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