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5月23日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』5月23日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「これじゃあロシアに“宣戦布告”同然だ 岸田サミット あらゆる面で「ヒロシマ」を冒涜」

 大メディアのお祭り騒ぎも後押しし、内閣支持率が急上昇。週末(20、21日)に行われた毎日新聞の世論調査では、先月から9ポイント上がって45%となり、読売新聞も9ポイントアップの56%となった。狙い通りの結果で岸田は高揚感に浸っていることだろう。

 だが、今回のサミットは、「平和」を求める世論の願いとはむしろ逆に進んだ。全体を俯瞰してみれば、「ロシア非難」一色だったと言っていい。核の威嚇を批判し、経済制裁強化を打ち出した。戦争当事国の片方のトップが対面で会議に加わり、対決構図はより強まった。NATO(北大西洋条約機構)諸国と足並み揃えて“宣戦布告”した岸田は、果たしてロシアと戦う覚悟があるのか。

 「日本は北方領土問題を抱えているのですよ。経済面でも、ロシアと共同開発した石油・天然ガス開発事業『サハリン2』の権益を持っている。水産資源では、毎年漁業交渉をして漁獲高を決めている。そうした複雑な外交関係があるのに、ここまで敵対すれば、全部吹っ飛んでしまう。議長国だからとエエカッコするのはやめてほしい。インドになれとまでは言いませんが、どうして他のG7の国々とは違う独自の外交ができないのか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 隣国ロシアと戦うなんてできないし、したくない。憲法9条を持つ日本が果たすべき役割は、ロシアを説得する仲介役だろう。

 欧米と一緒になってロシアを孤立させることじゃない。

 ウクライナに関するG7首脳声明には、軍事分野も含め「必要とされる限り支援を提供する」と明記された。防衛費倍増や敵基地攻撃能力の保有をアッサリ決めてしまった首相だ。政府与党が「防衛装備移転三原則」の見直しを始めているが、ウクライナ支援を口実に殺傷能力のある武器供与の一線も越えてしまいかねない。日米の軍需産業は高笑いだ。

 「バイデン大統領におだてられ、G7各国に引きずられ。岸田首相は政局的な思惑で動くので危険です」(五十嵐仁氏=前出)

 米誌「タイム」の見出しにイチャモンをつけたが、やっぱり岸田は「長年の平和主義を捨て去り、自国を軍事大国にすることを望んでいる」のではないのか。正体を見抜かれている。

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