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5月24日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』5月24日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「サミットで有頂天なのは首相だけ 列島を覆う「新たな戦前」のキナ臭さ」

 岸田政権は防衛費を今後5年間で43兆円に増やし、巡航ミサイル「トマホーク」を400発購入し、海上自衛隊のイージス艦8隻すべてをトマホーク搭載可能に改修する。

 麻生副総裁らは「岸田総理は安倍元総理にもできなかったことを実現している。リーダーシップは安倍よりある」と手放しで褒め称えているが、この国が防衛費増額や敵基地攻撃能力保有の軍拡路線に乗り出すその先に、何があるのか。

 「米国の軍事分担方針に従い、防衛費を43兆円に増やせば、日本は世界3位の軍事大国になる。それは果たして身の丈に合ったことなのでしょうか。株価が上がったといっても、国内の産業は空洞化し、国際競争力も下がり続けている。少子化問題も根深く、これだけ国力が低下しているのに、軍事に傾斜すれば経済力はますます落ちる一方です。しかも、軍拡の財源は増税です。今も物価高に苦しんでいる国民生活が大増税に耐えられるのか。

 国土防衛や抑止力以前に、社会基盤が内部崩壊しかねません。かつて『富国強兵』で国を誤ったのに、その反省も忘れて、今度は『強兵貧国』の道を歩もうとしている。大国志向の妄想に取りつかれているのか、現実的に戦争の準備を始めているのか、いずれにしても暗黒の未来と言うほかありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 軍事力と経済力は常にトレードオフの関係にある。戦後日本がめざましい成長を遂げたのも、専守防衛に徹して経済に注力できたことが大きい。その間も、世界中で戦争はあった。時には米国からの参戦圧力もあった。

 自衛隊の戦地派遣や、中には憲法改正を試みる政権が誕生しても、かつては世論がブレーキ役になっていたのだが、悲惨な戦禍と敗戦を肌感覚で知る世代が減り、戦争支援で結束したG7サミットを国民が評価して支持率が爆上がりしている現状は危うい。安倍政権以降、あっという間に国の姿が変わってしまった。

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