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5月27日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』5月26日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「常軌を逸した自画自賛 解散風を煽っているのは岸田首相の高揚」

 24日の集中審議でも、解散に関する質問が頻発。そのたびに岸田は「今は解散等については考えていない」という常套句を口にするのだが、支持率も株価も上がっている「今なら確実に勝てる」と、早期解散を望む声が自民党内で大きくなっている。

■「指摘は当たらないと強気一辺倒

 「サミットが評価されて支持率が上がったことと、衆院解散はまったく別の話です。賛否両論あるテーマについて国会での議論を深め、争点を示して国民に聞くのが本来の解散総選挙のあり方でしょう。岸田政権が推し進める大軍拡や、そのための財源確保法案がちょうど国会で審議中なのだから、徹底審議した上で国民に信を問うなら分かります。しかし、岸田首相は何を聞かれてもマトモに答えようとはしない。それでいて、4年間の衆院議員任期を2年以上も残しているのに、与党側の都合で勝てる時に選挙をやるというのは筋が通りません。あまりに国民をバカにしています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 24日、防衛費増額のための財源確保法案が参院で審議入り。野党から「増税などの国民負担を強いる方針を国会審議を経ず決めた」「憲法をないがしろにしている」などと追及された岸田は、ことごとく「指摘は当たらない」と突っぱね、サミットの成果を誇った。異様なまでの興奮、全能感。この強気の姿勢が、解散風を煽るのだ。

 「被爆地で開催されたサミットで核抑止を正当化し、ウクライナへの戦争支援を大々的に発信するなんて、ヒロシマを冒涜しているとしか思えません。しかし、中央メディアの記者はサミット期間中だけ現地について行って、政府関係者から聞いた手柄話を垂れ流すわけです。政権の思惑通りの提灯報道が支持率を上げ、解散風を後押ししている。欺瞞に満ちた広島サミットを検証したり、サミットの勢いを借りて解散に突き進むことを戒めるべき大メディアが政府の広報機関になってしまっています。その方が売れるからといって、メディアが一斉に政治と同じ方向に走ることは、国民から判断材料を奪うことになり、実に危うい。サミット成功だから解散という無理筋の理屈が幅を利かせる現状では、ジャーナリズムの役割も問われています」(五十嵐仁氏=前出)

 戦時中もそうだった。戦争を正当化する軍部に同調する世論が高まると、当初は批判的だった大新聞も迎合して大本営発表を垂れ流すようになり、それに呼応した国民がさらに戦争を支持する。そういう負のサイクルから抜けられなくなった末の敗戦だったのではないか。メディアが権力監視の役割を見失えば、国全体が誤った方向に進んでしまう。そのツケを負うのは結局、われわれ国民だということを忘れてはいけない。


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