7月30日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月30日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:バリ五輪で騒いでいるのは無節操なテレビ局だけ どこか空疎な「パンとサーカス」
国際刑事裁判所(ICC)から7つの戦争犯罪や人道に対する罪で逮捕状請求を明言されているネタニヤフ首相のイスラエルが堂々と行進しているのに、どこもそのおかしさを指摘しない。かつてヒトラーに利用された五輪は、その負い目があるからだろうが、かくも五輪の「平和」なんて欧米の事情によって左右されるということだ。ここもまた偽善の極みである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「この瞬間にも激しい戦闘が繰り広げられ、そうした映像が次々に中継されてくる。世界は分断されていますが、欧米側も一枚岩でなく、極右が台頭し、政治的混乱が続いている。この間、TVや大新聞の報道は五輪一色になるのでしょうが、その裏側の混乱がかくも不気味な五輪も異常です。五輪中継も無理やりナショナリズムを煽るような報道にならないことを祈るばかりです」
日本の政治に目を転じても、「五輪しめしめ」とほくそ笑んでいる連中が大勢いるような気がする。
海自の潜水手当不正受給では昨年11月に警務官によって、4人の隊員が逮捕されているのに、大臣に報告が上がらなかった。文民統制もへったくれもない。事務次官や海自トップなど218人が処分され、川崎重工からの賄賂疑惑まで噴出しているのに、木原防衛相はしがみつき、28日は日米韓の防衛相会議に出席。米国に言われるがままに軍事同盟強化にシャカリキだった。この問題を巡る国会の閉会中審査はようやく30日に開かれるが、衆参で1日だけ。それも五輪でかき消されてしまうのは見えている。本来であれば、大臣は即刻、辞任ではないか。
「それをしないのは、総裁選前後の内閣改造も視野に入れると後任のなり手がいないからです。時間稼ぎしてゴマカすしかない」(政界事情通)というからふざけた話だ。
■誰もが「俺がこう変える」とは言わない
その総裁選もさながら「五輪休戦」ではないか。
「米国では11月の大統領選に向けて、活発な集会、議論が繰り広げられています。日本は9月に事実上、日本のトップが決まる選挙があるのに、この期に及んで、誰が出てくるのかすらわからない。それは与党・自民党だけでなく、野党・立憲民主党も同じです。候補者の名前は出てくるが、“意向を固めた”という報道だけで、本当なのか、わからない。本来であれば、このタイミングで候補者が揃って、活発な議論を展開し、メディアもそれをきちんと報じる。それこそが民主主義のあるべき姿なのに、五輪をコレ幸いにして、皆が息をひそめている。こうして、国民の忘却を待っているのだとしたら、とんでもない話です」(五十嵐仁氏=前出)
*巻頭特集:バリ五輪で騒いでいるのは無節操なテレビ局だけ どこか空疎な「パンとサーカス」
国際刑事裁判所(ICC)から7つの戦争犯罪や人道に対する罪で逮捕状請求を明言されているネタニヤフ首相のイスラエルが堂々と行進しているのに、どこもそのおかしさを指摘しない。かつてヒトラーに利用された五輪は、その負い目があるからだろうが、かくも五輪の「平和」なんて欧米の事情によって左右されるということだ。ここもまた偽善の極みである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「この瞬間にも激しい戦闘が繰り広げられ、そうした映像が次々に中継されてくる。世界は分断されていますが、欧米側も一枚岩でなく、極右が台頭し、政治的混乱が続いている。この間、TVや大新聞の報道は五輪一色になるのでしょうが、その裏側の混乱がかくも不気味な五輪も異常です。五輪中継も無理やりナショナリズムを煽るような報道にならないことを祈るばかりです」
日本の政治に目を転じても、「五輪しめしめ」とほくそ笑んでいる連中が大勢いるような気がする。
海自の潜水手当不正受給では昨年11月に警務官によって、4人の隊員が逮捕されているのに、大臣に報告が上がらなかった。文民統制もへったくれもない。事務次官や海自トップなど218人が処分され、川崎重工からの賄賂疑惑まで噴出しているのに、木原防衛相はしがみつき、28日は日米韓の防衛相会議に出席。米国に言われるがままに軍事同盟強化にシャカリキだった。この問題を巡る国会の閉会中審査はようやく30日に開かれるが、衆参で1日だけ。それも五輪でかき消されてしまうのは見えている。本来であれば、大臣は即刻、辞任ではないか。
「それをしないのは、総裁選前後の内閣改造も視野に入れると後任のなり手がいないからです。時間稼ぎしてゴマカすしかない」(政界事情通)というからふざけた話だ。
■誰もが「俺がこう変える」とは言わない
その総裁選もさながら「五輪休戦」ではないか。
「米国では11月の大統領選に向けて、活発な集会、議論が繰り広げられています。日本は9月に事実上、日本のトップが決まる選挙があるのに、この期に及んで、誰が出てくるのかすらわからない。それは与党・自民党だけでなく、野党・立憲民主党も同じです。候補者の名前は出てくるが、“意向を固めた”という報道だけで、本当なのか、わからない。本来であれば、このタイミングで候補者が揃って、活発な議論を展開し、メディアもそれをきちんと報じる。それこそが民主主義のあるべき姿なのに、五輪をコレ幸いにして、皆が息をひそめている。こうして、国民の忘却を待っているのだとしたら、とんでもない話です」(五十嵐仁氏=前出)
2024-07-30 06:18
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